行政DXを推進する本人確認の取り組み
行政DXの推進に伴い、来庁せずにオンラインで手続きなどが完結する、デジタル技術を活用した行政サービス...
ヤマトシステム開発株式会社
特定退職金共済の手続きにおいては、税金の計算が必要になるためマイナンバーの収集は避けて通れません。適切な対応を怠ると情報漏えいや法令違反のリスクが高まります。
この記事では、特定退職金共済制度の概要から、マイナンバーが必要な理由、さらに安全な収集・管理方法までを詳しく解説します。
マイナンバーの収集・管理に関する対策を解説し、マイナンバー収集を外部に委託する際の注意点や、信頼できる委託先を選ぶポイントについても触れています
特定退職金共済(特退共)は、主に中小企業の従業員に対する退職金制度を支援するための仕組みです。詳細については、以下で解説いたします。
この制度は、企業が毎月一定額の掛金を特定退職金共済団体に支払い、従業員が退職した際にその積立金が退職金として支給されるというものです。企業にとっては、退職金の準備を効率的に行うことができ、従業員にとっては退職後の安心感が得られるメリットがあります。
特定退職金共済は、企業が掛金を経費として扱えるため、税制上の優遇を受けられます。従業員にとっても、受け取る退職金が所得控除の対象となるため、税負担が軽減されます。万が一会社の経営状況が悪化しても、掛金は会社の外部(共済)に積み立てられるため、退職金が保全されます。
特定退職金共済の制度を運営している団体のことを指します。この団体は、所得税法施行令第73条に定められた要件を満たし、国税庁長官(実際の手続きは所轄の税務署長)の承認を得て、主に中小企業の従業員の退職金共済事業を行っています。
特定退職金共済団体の役割は、企業(事業主)と従業員(被共済者)の間に入り、退職金制度を円滑に運営することです。
特定退職金共済団体の目的は、中小企業が自社で退職金制度を整備する際の負担を軽減し、従業員の将来の生活を安定させることです。この制度により、加入企業は従業員に対して安定した退職金を確保できるだけでなく、企業自身も掛金に対する税制上の優遇措置を受けることができます。従業員にとっても、転職した際に転職先が同じ特定退職金共済の制度に加入している場合、各運営団体の規定によりますが掛金の納付実績を引き継ぐ「通算制度」が適用する場合があります。
「特定退職金共済(特退共)」と「特定業種退職金共済(特業退)」と「中小企業退職金共済(中退共)」は、いずれも退職金を積み立てるための制度です。
| 特定退職金共済 (特退共) |
特定業種退職金共済 (特業退) |
中小企業退職金共済 (中退共) |
|
|---|---|---|---|
| 運営主体 | 商工会議所・商工会など | 国(勤労者退職金共済機構) | 国(勤労者退職金共済機構) |
| 加入企業 | 制限は原則なし | 特定の中小企業3業種 (建設業・清酒製造業・林業) |
中小企業 |
| 国の助成 | なし | あり | あり |
特定退職金共済の手続きにおいて、退職金(一時金や給付金)を受け取る際にマイナンバーの提出が求められる理由は、退職金は「退職所得」として扱われ、税金(所得税・住民税)の計算が必要になるためです。税務手続きの円滑化と適正な給付管理のため国税庁は、税務申告や給付に関する情報の正確な把握を目的として、マイナンバーの使用を原則義務付けています。これにより、退職金に関する所得税の申告が正確に行われ、適切な納税ができます。
従業員(被共済者)は、企業(事業主)もしくは特定退職金共済へマイナンバーを提出します。マイナンバーの確認のほかに、法律で厳格に定められているため、本人確認(身元確認)が必要になります。
特定退職金共済の退職金を受け取る際にマイナンバー提出が必要になります。マイナンバーの収集・管理業務で扱うデータは、「特定個人情報」という、個人情報の中でも特に厳重な管理が求められる情報です。万が一、漏えいや紛失などがあれば企業の信用問題に直結するため、取り扱う担当者には大きな心理的プレッシャーがかかる業務です。
特定退職金共済手続きでマイナンバーを取り扱う際、目的外の利用は法律で固く禁じられています。 そのためマイナンバーを収集する際は、利用目的を具体的に明示する義務があります。
マイナンバーを管理する際に、組織的安全管理措置、人的安全管理措置、物理的安全管理措置、技術的安全管理措置の4つの安全管理措置の実施が必要です。
これは個人情報を、漏えい、滅失、毀損といったさまざまなリスクから守るための具体的な行動指針です。以下の記事で詳しく解説しています。
マイナンバーや本人確認書類に記載された情報の漏えいを防ぐことが最重要になります。この漏えいは個人のプライバシー侵害や不正利用、さらには制度全体の信頼失墜につながります。したがって、特定退職金共済団体や担当者は、厳格な情報管理体制を構築し、さまざまな対策を講じる必要があります。
情報漏えいを防ぐために有効な具体的な対策は以下の通りです。
これらの対策を総合的に実施することで、特定退職金共済の手続きにおけるマイナンバーや本人確認書類の漏えいリスクを最小限に抑え、個人情報を守り安心して制度を利用できる環境を整備することが必要です。団体や事業主はこれらのポイントを踏まえ、法令や規則を遵守しながら情報管理の向上に努めることが求められます。
前途の通り、法律で定められた厳格なルールを守り続ける必要があり、担当者には「絶対に情報漏えいしない」という大きな心理的プレッシャーがかかります。 また、法改正やガイドラインの変更にも常にアンテナを張る必要があり、専門知識の維持も大変です。 そのため専門の外部業者に委託する方法があります。
専門の外部業者に委託しても、マイナンバー法では最終的な管理責任は委託した自社に残ります。万が一、委託先がマイナンバーを漏えいさせた場合、「委託先に任せていた」という言い訳は通用せず、自社も法的な罰則や社会的信用の失墜という重大な責任を問われるため、委託先の選定は重要になります。
委託先を選ぶ際の主な確認ポイントは以下になります。
| 確認ポイント | 内容 |
|---|---|
| 客観的な信頼性の証明(認証) | 個人情報保護体制の認証のプライバシーマーク(Pマーク)や、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格認証のISMS(ISO/IEC 27001)の認証を得ている |
| 安全管理措置 | 技術的安全管理措置、物理的安全管理措置などを厳格に行っている |
| 実績や専門知識 | マイナンバー収集・管理業務の導入実績があり、法改正(ガイドラインの変更)があった際に、適切に対応できる専門知識や体制がある |
| 委託範囲が明確 | 契約書に委託する業務の範囲、安全管理措置の具体的な内容、秘密保持義務、事故発生時の報告・連絡体制の詳細が記載されている |
| サポート体制 | 事故発生時や、従業員から問い合わせがあった際のサポート窓口は明確で、対応する時間帯が適切である |
これらのポイントを総合的に評価し、特定退職金共済の手続きにおけるマイナンバー収集・管理の委託先としてふさわしいか慎重に判断することが大切です。適切な委託先を選ぶことで、手続きの円滑化と特定退職金共済の加入者の個人情報保護を両立できます。
マイナンバーの収集や保管業務は、特定退職金共済団体や企業にとって重要かつ慎重に取り扱わねばならない分野です。個人情報保護の観点からも、マイナンバーは漏えいが許されないデリケートな情報です。そのため、こうした業務を社内で対応することはリスクが伴い、また煩雑な手続きが求められるため、専門の外部業者に委託することを推奨します。専門業者は、最新のセキュリティ技術情報や豊富な経験を持ち、マイナンバーの適切な収集・保管を実現します。また、法律や規制に基づいた運用を行うことで、企業の法令遵守をサポートします。
ヤマトシステム開発が提供している「マイナンバー収集代行サービス」は、金融業界や不動産業界をはじめ多くの業種へ導入実績があります。プライバシーマーク(Pマーク)を取得し、機密性の高いクレジットカード番号情報などを保管する実績のあるデータセンターにてマイナンバーデータを保管しています。4つの安全管理措置についても体制を整え、定期的な教育を実施、厳重なアクセス制限や立入制限を行い、24時間有人監視を行っております。
マイナンバーの収集や保管の業務を、専門の外部業者に委託することも選択肢として検討されてみてはいかがでしょうか。
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