2026年度導入予定!次期マイナンバーカードの変更内容を解説

マイナンバーカードの導入から10年を迎える2026年度に、次期マイナンバーカードの導入が予定されています。
 次期マイナンバーカード導入による変更はデザインだけではありません。記載情報の変更、システムの刷新、より高いセキュリティ機能や使いやすさを備えて、公証名義や発行体制などの重点的対策項目も含まれています。
 マイナンバーカードは確定申告などのオンライン申請だけではなく、民間企業でも対面・非対面(オンライン)での本人確認に多く利用されています。
 この記事では、次期マイナンバーカードの変更内容について詳しく解説し、本人確認方法の1つであるマイナンバーカードのICチップを読み取る公的個人認証サービス(JPKI)に対応したサービスを紹介します。
マイナンバーカードの概要
マイナンバーカードは国民の79.4%が保有し(2025年8月末時点)、確定申告・引越し・子育てなどのオンライン申請や、健康保険証・運転免許証として利用されています。民間企業でも銀行の口座開設やクレジットカードの新規発行やサービス申し込み時などの本人確認として対面・非対面(オンライン)で利用され、官民問わずさまざまなシーンでの利活用が進んでいます。
 2027年4月の犯収法改正により、特定事業者においては本人確認方法がマイナンバーカードのICチップを読み取る公的個人認証サービス(JPKI)へ原則一本化されます。金融機関などの特定事業者は公的個人認証サービス(JPKI)の対応準備をしておくことが重要です。
 2027年4月に犯収法改正については以下の記事で詳しく解説しています。
次期マイナンバーカードの導入時期
次期マイナンバーカードの導入時期は、2026年度を目標に計画を進めています。
 マイナンバーカードの導入から10年を迎える2026年度に、さまざまな官民の関連システムの対応などに十分考慮し、次期マイナンバーカードの導入が進められています。
次期マイナンバーカードの機能と特徴
2023年よりデジタル庁では次期マイナンバーカードについて検討を重ねてきました。2024年4月に第4回目の「次期個人番号カードタスクフォース 最終とりまとめ概要」を公開しました。
 重点的対策項目とその他重要論点について、以降で解説します。
次期マイナンバーカードの重点的対策項目4点
マイナンバーカードの機能向上に向けて次期マイナンバーカードでは、見た目や技術でさまざまな変更がされます。重点的対策項目4点を解説します。
 次期マイナンバーカードのデザイン(イメージ)
 
 【引用元】デジタル庁(参考資料:次期個人番号カードのデザイン(イメージ))
カードの券面記載事項
次期マイナンバーカードの券面記載事項は、いくつかの変更が予定されています。
 氏名、生年月日、住所、顔写真は官民問わずさまざまなシーンで利活用されているため、現行のマイナンバーカードから変更なく記載されます。マイナンバー(個人番号)の記載も変更はなく、裏面に記載されます。
| 項目 | 現行のマイナンバーカード | 次期マイナンバーカード | 背景など | 
|---|---|---|---|
| 性別 | 記載あり | 記載なし | ICチップに性別の情報を記録すれば問題は生じないとの調査結果が得られたため、ICチップにのみ情報を記録 | 
| 氏名のフリガナ | 記載なし※ | 記載あり | ー | 
| 氏名のローマ字 | 記載なし※ | 記載予定 | 旅券のローマ字表記との整合性にも配慮して記載予定 | 
| 生年月日 | 記載あり(和暦) | 記載あり(西暦) | ー | 
| 臓器提供 意思表示  | 
記載あり(表面) | 記載あり(裏面) | 表示欄の追記欄の拡充の観点から、裏面の記載へ変更 | 
※発行時期によって記載あり
 券面記載事項の変更と合わせて、偽造防止対策やユニバーサルデザイン対応、視覚障害者への配慮等を踏まえて、マイナンバーカードのデザインの見直しを行います。文字の読みやすさに配慮するとともに、誰もが持ちたくなる魅力的なデザインを実現します。
カードなどに用いる技術
暗号方式
現行のマイナンバーカードは電子証明書の有効期限は5年、マイナンバーカード本体の有効期限は10年です。次期マイナンバーカードでは電子証明書の有効期限をマイナンバーカード本体の有効期間にあわせて10年に延長します。前提として10年の有効期間に耐えうる強固な暗号方式に移行します。ただし、18歳未満は電子証明書、マイナンバーカード本体の有効期限ともに5年で変更ありません。
暗証番号の入力
現行のマイナンバーカードでは、4つのアプリケーションが搭載され、4つの暗証番号の設定が必要になっています。(利用者証明用電子証明書暗証番号・住民基本台帳用暗証番号・券面事項入力補助用暗証番号の3つは同一の値で設定が可能)
 次期マイナンバーカードでは、アプリケーションが2つに再編され、これを基に暗証番号は2つに変更になります。
 将来的にはスマートフォンの生体認証の活用などにより、暗証番号を不要にすることを検討しています。
J-LISマイナンバー関係システムの刷新
次期マイナンバーカードへの仕様変更後にも情報を読み取るために、多くのマイナンバーカードの発行や利用に係るJ-LISマイナンバー関係システムで改修が必要になることが見込まれています。改修内容の整合性確保や改修スケジュールの確保が必要になります。次期マイナンバーカードの対応を契機として、より効率的なシステムとJPKIシステムへの刷新を検討しています。
発行体制
現行のマイナンバーカードは、有効期限の3か月前から更新申請可能で、有効期限は10回目の誕生日(18歳未満は5回目の誕生日)となっています。
 次期マイナンバーカードは、更新申請については、有効期限の1年前から可能になります。有効期限については、10回目の誕生日(18歳未満は5回目の誕生日)の1か月後へ変更され、更新期間が大幅に長くなります。
 特急発行の対象には、満1歳未満、紛失等による再交付、海外からの転入者などを加える予定です。
 また、郵便局での更新体制の整備を推進するなど、市町村の窓口負担の軽減方策についてさらに検討を進めています。
 マイナンバーカードは、対面に加え、非対面のオンラインでも偽造が難しいため確実な本人確認ができる、信頼性の高い本人確認書類であり、マイナンバーカード本体の更新については、顔写真の情報が必ず変更され、その確認を十分に行う必要があります。そのため、現在と同様に対面による厳格な本人確認を継続します。
公証名義
国の保証の下に発行されていることを明確化するため、カード券面に「日本国 JAPAN」の記載を行うことを検討しています。
次期マイナンバーカードのその他重要論点15点
1.次期マイナンバーカード発行直前に発行されるカードの電子証明書の扱い
- 現行マイナンバーカードの電子証明書に用いられる暗号アルゴリズムは、CRYPTRECの「暗号強度要件(アルゴリズムおよび鍵長選択)に関する設定基準」において2031年1月1日以降利用不可とされているが、このスケジュールでの次期マイナンバーカードへの移行完了は困難と考えられています。
CRYPTRECでは当該基準の見直しを少なくとも5年毎に行うことになっており、次の見直しのタイミングは2026~2027年頃と予想されるため、状況によっては利用延長に向けた相談等の検討を行う必要があります。 - 可能な限り速やかに新暗号への移行を図るため、次期マイナンバーカード導入時期以降、現行のマイナンバーカードの電子証明書の更新の際には、電子証明書の更新ではなく、次期マイナンバーカードの取得を推奨します。
 
2.新旧マイナンバーカードの切り替えに伴うマイナンバーカード利用機関等への影響
- 有識者の知見によると、ハードウェアの交換までは不要であると見込まれているため、マイナンバーカードに新旧の暗号を搭載するのではなく、利用者の端末側のソフトウェアの対応で、新旧両方の暗号を扱うことができることとします。
 - その場合に、重要となる利用者の端末側の対応の負担軽減のため、新暗号に対応したライブラリ(利用者クライアントソフト)の提供など、利用者を支援する方策を検討します。
 
3.ICチップの空き容量
- 現在の製品状況を参照すると、ICチップのメモリ容量の増加は困難であると推察されます。新暗号方式への移行による鍵データおよび署名データのデータサイズ見直しや、アプリケーションの再編による各アプリケーションに設定されていた暗証番号やアクセス制御設定等の統合により、一定のメモリ容量の節約を実現します。また、搭載アプリの個数など、メモリ容量の節約について検討します。
 
4.ISO認証(現在、ISO/IEC15408のCC認証を取得)
- マイナンバーカードの電子空間内での最も信頼できる本人確認書類という位置づけから、ISO/IEC15408のCC認証の取得は必須です。
 - 仕様変更に伴い、マイナンバーカード自体のCC認証の取得申請を行う前に、個人番号カードプロテクションプロファイルのCC認証を取得し直す必要があります。
 - 仕様確定後、実際のマイナンバーカード自体のCC認証取得が完了するまでに1年半~2年程度が見込まれ、CC認証取得作業と並行してマイナンバーカード製造に着手する場合、認証作業中の評価結果によっては、マイナンバーカード製造の遅延につながるような影響を与える事態が生じることもあり、これらを念頭にスケジュールを見込む必要があります。また、こうしたCC認証取得期間を短縮する方策として、CC認証取得時の事前相談の活用等について検討します。
 - さらに、今後のCC認証は有効期限が5年間となることから、有効期限を延長するための再評定申請作業についても考慮に入れる必要があります。
 
5.ICチップの顔写真カラー化等(現在、白黒で、容量も小さい)
- 現行の仕様においても顔認証の利用に大きな支障が生じていないことから、必ずしも顔写真カラー化は必要ではなく、そもそもチップ容量を勘案してもカラー化は困難と考えられるため、引き続き白黒のデータを格納することとします。
一方で、顔写真の撮影条件こそが認証精度に大きな影響を及ぼすことから、申請時に添付する顔写真の撮影基準の明確化や申請時の顔写真の品質チェック強化等の徹底について検討します。 
6.マイナンバーカードの磁気ストライプ(現在、JIS規格の磁気ストライプを実装)
- 現在、磁気ストライプを活用し、マイナンバーカードを図書館カードや印鑑登録証として活用している自治体があることや、将来的に、マイナンバーカードを銀行のキャッシュカードとして使う場合には、磁気ストライプを残すことが必要であることから、磁気ストライプの搭載を継続します。
 
7.PUK(PIN UNLOCK KEY)の発行(海外で採用例が多い)
- 暗証番号がロックされた場合の備えとして、希望者は、有効な電子証明書を使ってPUK(PIN UNLOCK KEY)を設定できるようにし、暗証番号ロックがかかった場合に、PUKを使用してマイナポータルアプリで暗証番号のロック解除と暗証番号の再設定ができるようにします。
※利用者証明用電子証明書の暗証番号(4桁)がロックされた場合は、事前に自らが設定したPUK(暗証番号)を使って、暗証番号(4桁)のロックを解除する。 
8・9.カード本体・JPKIアプリの真贋性判定機能の追加
- 認証のためのアプリケーションに、デバイス認証を行うための内部認証鍵を設け、デバイス認証を必要とする機関に、内部認証鍵に対応した公開鍵を配付する方向で対応し、機能の追加を実現します。マイナンバーカードの真正性を確認することができるセキュアメッセージング機能を必須とする対応も行います。
 
10.電子証明書の失効理由の細分化
- 電子証明書の失効理由「affiliationChanged」に、「死亡」の細分を設けることについては、国際標準と異なることとなり、個人情報保護の観点の検討も求められることから、難しいと考えられます。一方で、「affiliationChanged」に含まれる「海外転出」が、2024年(令和6年)7月以降、失効理由でなくなることにより、「affiliationChanged」における大宗は自然と「死亡」となることから、このことを署名等検証者に周知し、事業の効率化に活用してもらいます。
 
11.マイナンバー(個人番号)カードの呼称の変更
- 民間事業者が活用する場合をはじめ、マイナンバー(個人番号)を利用しないマイナンバーカードの活用法も現実には多くあるが、こうしたケースにおいても、マイナンバーカードという呼称のためにマイナンバー(個人番号)が利用されていると誤解されるなど、マイナンバー(個人番号)利用事務とマイナンバーカードの利活用が混同されている場合があります。こうした混乱を回避するとともに、国民に親しまれるマイナンバーカードとするため、次期マイナンバーカード導入を契機に、「マイナンバーカード」以外の新たな呼称を、広く国民への公募も経て検討することが有意義であると考えられます。
 
12.インターフェイス仕様の公開
- 次期マイナンバーカードを利用する際のインターフェイス仕様(APDU仕様書)について、公開されることで、マイナンバーカード利用端末の開発が容易となり、マイナンバーカードの利活用が進むことから、安全性の確保を前提にこれを公開します。
 
13.(長期的論点)将来的な物理カードの必要性
- 2023年(令和5年)5月にスマートフォンへのカードの電子証明書の搭載が開始されました。スマートフォン搭載が実現しても、マイナンバーカードの普及と利活用は重要です。一方で、マイナンバーカード自体の不要化については、その利便性の確保も含め中長期的な課題として、引き続き検討を続けます。
 - また、スマートフォン搭載を進めれば、スマートフォンの生体認証等を活用する等により利便性が高まり、マイナンバーカードの常時携行も不要となるため、マイナンバーカードの機能が格段に使いやすくなり、官民のオンライン・デジタル化の進展が期待できます。その普及を進めるとともに、その改善についても、今後検討を行います。
 
14.その他重要論点(JPKI暗号化機能の追加)
- JPKI暗号化機能を追加し、現在、政府、自治体、医療分野で親展郵便で送っている情報を、受信者本人のみが復号可能な状態に暗号化して電子的に送ることを実現する仕組みについては、その必要性、コスト、実現方式などについて、引き続き検討します。
 
15.次期マイナンバーカードの導入時期
- マイナンバーカードの導入から10年を迎える2026年をひとつの視野に入れ、さまざまな関連システムの対応等に十分考慮し、極力、早期の次期マイナンバーカードの導入を目指し、引き続き検討を進めています。
 - 次期マイナンバーカード導入時期以降、現行のマイナンバーカードの電子証明書の更新の際には、電子証明書の更新ではなく、次期マイナンバーカードの取得を推奨し、速やかに次期マイナンバーカードへの切り替えが進むように検討します。
 
【引用元】【引用元】デジタル庁(次期個人番号カードタスクフォース 最終とりまとめ概要)
本人確認方法はどう変わる?
次期マイナンバーカードの導入に伴い、パスワードが4つから2つへ変更になり利用者の管理の手間が軽減します。もし暗証番号がロックされた場合も、PUKを使用してマイナポータルアプリで暗証番号のロック解除と暗証番号の再設定ができるようになるため、利用者の負担軽減が見込まれています。将来的にはスマートフォンの生体認証を活用が検討されているため、さらに利便性が高くなります。
 マイナンバーカードのICチップで読み取る本人確認方法の公的個人認証サービス(JPKI)については、J-LISマイナンバー関係システムの改修が見込まれています。新しい情報が届き次第こちらの記事で紹介させていただきます。
公的個人認証サービス(JPKI)に対応した本人確認方法
マイナンバーカードを使用した本人確認は、信頼性の高い本人確認方法です。
 本人確認方法の1つである公的個人認証サービス(JPKI)は、マイナンバーカードのICチップを読み取る本人確認方法として、現行のマイナンバーカードでも銀行の口座開設やクレジットカードの新規発行やサービス申し込み時など多くのシーンで利用されています。この方法では、マイナンバーカードに内蔵されたICチップに電子証明書が格納されており、個人の身元を確認します。これにより、オンライン上での本人確認を安全かつスムーズに利用できるようになります。書面や対面での確認方法に比べ、時間と手間を削減できます。口座開設やクレジットカードの新規発行やサービス申し込みなどの利用開始時期を早めることにつながります。
 ヤマトシステム開発では、公的個人認証サービス(JPKI)に対応した「証明書類Web取得サービス」を提供しています。公的個人認証サービス(JPKI)による本人確認のみでなく、申し込みに必要な各種書類画像も併せて取得ができます。本人確認書類や各種提出書類の画像の目視による確認作業も可能です。
関連サービス

- 証明書類Web取得サービス
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