1. TOP
  2. media
  3. コラム
  4. 金融商品取引法改正の第二種金融商品取引業とは?マイナンバー収集の解消方法

金融商品取引法改正の第二種金融商品取引業とは?マイナンバー収集の解消方法

金融商品取引法改正の第二種金融商品取引業とは?マイナンバー収集の解消方法

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
金融商品取引法改正の第二種金融商品取引業とは?マイナンバー収集の解消方法

公開日:2025年1月6日 最終更新日:2025年3月6日

2024年度の金商法改正で注目すべきポイントは、金融商品取引業者の参入要件が緩和されたことです。これにより金融商品取引業者へ参入はしやすくなりましたが、さまざまな条件があり登録のための申請も必要になります。
また、税務署へ提出する法定調書の作成が必要になり、そこへ記載するマイナンバーの収集や保管が必要となります。
本記事では、第二種金融商品取引業の詳細や、マイナンバー収集・保管・法定調書作成に関する課題とその解決方法について解説します。

関連サービス

マイナンバー収集代行サービス
マイナンバー収集代行サービス
マイナンバーに係わる収集・保管などの各業務をワンストップでご提供!さまざまな調書作成までおこなっています。

2024年度金融商品取引法改正のポイント

毎年改正されている金融商品取引法(以下、金商法)ですが、2024年度も改正が行われました。
本記事では「非上場株式等の流通規制の見直し」、「投資運用業者の参入促進」、「株式公開買付け(TOB)・大量保有報告制度の見直し」の3つの改正ポイントについて解説いたします。

非上場株式等の流通規制の見直し

非上場株式等の流通規制の見直しは、日本国内のスタートアップを大幅に増やすための戦略とロードマップを示した「スタートアップ育成5か年計画」の一環になります。
スタートアップの育成という観点から、非上場株式等の発行市場における証券会社による引受け・販売や流通市場の機能強化が進められています。これまで、日本証券業協会による自主規制規則の改正などが行われてきました。

2024年度の法改正では、第一種金融商品取引業のうち、以下の行為のいずれかの行為を業として行うことを「非上場有価証券特例仲介等業務」と定義しています。

    1. 金融商品取引所に上場されていない有価証券についての以下の行為
      (ア)売付けの媒介または、募集・売出しの取扱いもしくは私募・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱い
      (イ)買付けの媒介
      (ア・イ共に一般投資家のために行うもの、一般投資家に対する勧誘に基づき当該一般投資家を相手方として行うものを除外)
    2. 1に掲げる行為に関して顧客から金銭の預託を受けること(1に掲げる行為による取引の決済のために必要なものであって、当該預託の期間が政令で定める期間を超えないものに限る)


一般投資家以外の投資家を対象に、非上場有価証券の募集や売出し、売買の媒介を行う行為や、これらの媒介行為に関連して取引決済のために顧客から金銭を預かる行為が「非上場有価証券特例仲介等業務」に該当します。
また、第一種金融商品取引業のうち、この「非上場有価証券特例仲介等業務」のみを行う場合には、登録申請書にその旨を記載する必要があります。この旨を記載して登録または変更登録を受けた者を「非上場有価証券特例仲介等業者」と呼びます。

第一種金融商品取引業のうち「非上場有価証券特例仲介等業務」のみを行う場合には、その登録要件が次項のとおり緩和されました。

投資運用業者の参入促進

2024年度の法改正では、投資運用業者の参入促進のため、「投資運用関係業務受託業」の登録制度について規定されました。
投資運用業等に関連して次に示す業務を「投資運用関係業務」と定義し、金商法の規定に基づき投資運用業等を行うことができる者に委託され、その委託に基づいて以下の①および②、いずれかを業務として行うことを「投資運用関係業務受託業」と定義し、実際に行う者を「投資運用関係業務受託業者」としています。

    1. 運用対象となる財産を構成する有価証券やその他の資産、およびそれらの資産から生じる利息や配当金、さらに運用対象財産の運用に関連する報酬やその他の手数料を基にした、その運用対象財産の評価額を計算する業務
    2. 法令や行政官庁の指示、または定款やその他の規則の遵守を確保するための指導に関する業務

上記いずれかの業務を行う法人または個人は「投資運用関係業務受託業」に登録を申請することができますが、登録が拒否される要件が定められており、その登録を受けるためには、体制整備などの一定の要件を満たす必要があります。
「投資運用関係業務受託業者」には、誠実義務、忠実義務・善管注意義務のほか、業務管理体制の整備、名義貸しの禁止、その他の義務が課されており、監督に関する規定も整備されています。

株式公開買付け(TOB)・大量保有報告制度の見直し

2024年の法改正により、これまで、取引所市場外での株式等の買い付けにおいて、上場会社などの株券等の所有割合が3分の1を超える場合に株式公開買付け(TOB)の実施が義務付けられていた「3分の1ルール」が、取引所市場内での買い付けにも適用されるようになりました。
市場内取引を通じて企業の支配権に大きな影響を与える場合にも、株式公開買付け(TOB)の実施を義務付けるべきであることや、株式公開買付け(TOB)の実施が義務付けられる議決権割合の基準を現行の3分の1から30%に引き下げられました。
また、既に株券等の所有割合が30%を超えている者が、新たに株式等を買い付けて、その所有割合が再度30%を超える場合についても、原則として公開買付けの実施が義務付けられました。

金融商品取引業者の参入要件の緩和

投資運用関係業務受託業の登録を受けた場合には、金商法に基づく規制や監督に従う必要がありますが、投資運用業を行おうとする者が、この業者に投資運用関係業務を委託する場合には、「登録拒否要件の見直し」「投資運用業者の運用権限の委託の範囲の見直し」など金融商品取引業の登録の要件が緩和されます。

第二種金融商品取引業とは

第二種金融商品取引業とは、「金融商品取引法」に規定されている投資性のある金融商品を扱う業務の1つで、第二項有価証券と呼ばれている「みなし有価証券」といった、マイナーな金融商品を取り扱う業務です。

「みなし有価証券」とは、以下になります。

  • 信託受益権: 信託契約に基づいて信託財産から得られる利益を受け取る権利
  • 集団投資スキーム持分(ファンド): 複数の投資家から集めた資金を一つにまとめ、専門の運用者がその資金を株式、不動産、債券などさまざまな資産に投資・運用する仕組み。投資家は、そのスキームの持分を保有することで、運用による利益を分配して受け取る権利
  • 合同会社の社員権: 株式会社における株券と似たような権利であり、合同会社の有限責任社員たる地位のこと

「第二種金融商品取引業」のほかの業務に「第一種金融商品取引業」、「投資運用業」、「投資助言・代理業」があり、4つに分類されています。

第一種金融商品取引業と第二種金融商品取引業の違い

まずは業務内容の違いになります。第一種金融商品取引業は、信流動性の高い有価証券の売買、勧誘、引受け、店頭デリバティブ取引、資産管理などの証券業、金融先物取引業を営む業務です。 第一種金融商品取引業の登録を受けても、第二種金融商品取引業で取り扱う「みなし有価証券」を取り扱うことはできません。

第一種金融商品取引業が第二種金融商品取引業より規制が厳しい理由

前項で第一種金融商品取引業と業務が異なる点を解説しましたが、その他にも要件が定められています。

  第一種金融商品取引業 第二種金融商品取引業
資本金 5,000万円 1,000万円(法人の場合)
取締役会及び監査役又は委員会設置会社の株式会社 要件なし
資本比率規制 120% 要件なし
主要株主が一定の欠格者でない 要件なし
供託金 要件なし 1,000万円(個人の場合)

第二種金融商品取引業と比較して、第一種金融商品取引業は厳格な規制が設けられています。
そのほかに、流動性の高い商品も取り扱うため、投資家へ投資判断の材料として情報提供や説明責任が必要になります。第二種金融商品取引業も情報提供は必要ですが、情報の種類や量が第一種金融商品取引業に比べて少なくなります。

第二種金融商品取引業に登録する条件

第二種金融商品取引業は登録制となっていて、法人だけではなく個人でも登録申請を行うことができます。
法人の場合は資本金が1,000万円以上であること、個人の場合は供託金が1,000万円以上であること、そのほかに人的要件では営業部門と別でコンプライアンス部門(担当者)が設置され、コンプライアンス部門の責任者や担当者が十分な知識および経験があることや、役員の適正性では経営者および役員が金融商品取引業のリスク管理について十分な知識および経験があること、などが細かく定められています。

マイナンバーにおける課題

金融商品取引業者や証券会社などが税務署へ提出する法定調書へお客さまのマイナンバーや法人番号を記載しなければなりません。
お客さまよりマイナンバーを提供してもらう必要がありますが、「情報漏えいが心配」や「収集するノウハウがない」「マイナンバー情報を取り扱うために設備などの準備ができない」などでマイナンバーを収集可能になるまでに時間を要することがあります。

マイナンバー収集保管

最重要情報であるマイナンバーの収集には、個人情報保護法やマイナンバー制度に関する知識、セキュリティ対策や情報漏えい対策についての知識がある担当者が必要です。また、個人情報保護委員会の「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」では、安全管理措置のために担当者を明確にしておく必要があります。
マイナンバーの収集を行う場合は、その収集目的を事前に明示し、個人情報保護法に基づいた適切な手続きを踏む必要があり、自社で収集を行うには準備が必要となります。

以下の記事で詳しく解説しています。


オンラインでマイナンバー収集を行う時には、外部のサービスを利用するのが一般的になります。スマートフォンやタブレットなどのスマートデバイスよりマイナンバーカードの撮影を行います。
また、マイナンバーカードのICチップに格納されている電子証明書をスマートフォンで読み取るだけで収集することもでき、お客さまの手間は大きく軽減します。
郵送でマイナンバー収集を行う時には、マイナンバーカードもしくは、マイナンバーの通知カードと運転免許証などの本人確認書類などのコピーを提出していただくと手間が掛かりますが、スマートフォンが苦手な方、マイナンバーカードを持っていない方も提出が可能になります。

収集したマイナンバーは、データ化した情報の保管や紙による保管を行います。
データの場合は、不正アクセスを防止するためアクセス制御を設定し、特定の担当者だけが必要な情報にアクセスできる環境か、アクセス者の識別と認証を行い、誰がシステムにアクセスしているのかを確実に確認できるかが重要です。
紙の場合は、特定の担当者のみ開閉可能な鍵付きキャビネットを設置して保管します。
どちらの場合も保管しているパソコンやデータベース、キャビネットがある施設への不正侵入を防ぐために、監視体制の徹底や生体認証の入館管理など対策を行い、災害時のBCP対策を講じることも重要となります。設備が整っていればすぐに自社で収集から保管まで行うこともできますが、専門業者へ委託する方法があります。

法定調書作成

法定調書は、前年1月1日から12月31日に発生した給与や報酬などについて、1月31日までに税務署へ提出する義務があります。また、投資信託などの収益の分配や配当金などについては、支払確定日又は支払った日から1か月以内に税務署へ提出する義務があります。具体的な法定調書の発行時期や記載内容は、法定調書の種類によって異なります。お客さま別に必要な法定調書分の作成が必要になり、短期間で大きな手間が掛かります。提出を怠ると懲役や罰金が課せられる恐れがあります。
法定調書の作成方法は、大きく分けて自社で対応する方法と外部委託の2つがあります。
自社で対応する場合、コストを抑えられますが、専門知識が必要であり、多くの時間と労力がかかります。一方で外部委託する場合、専門家が対応するため安心でき、時間と労力を削減できますが、コストがかかります。
どちらの対応方法を選択するかは、自社の規模や体制によって異なりますが、専門知識やノウハウがない場合は、外部委託した方が安心です。
法定調書の作成は、金融商品取引業者の重要な業務です。しっかりと対応する必要があります。

自社で対応する

マイナンバーの収集目的を事前に明示するのは変わりありませんが、収集目的の作成から実際にマイナンバーの収集や保管を行い、法定調書の作成までを自社で行う場合のメリットとデメリットについて解説いたします。

メリット

  • コスト削減
    自社で完結できるため、必要な設備を整えれば運用ができます。
  • 迅速な対応
    直接情報が届くため、収集を急ぎたい場合はすぐに対応できます。また収集内容の変更や収集目的の変更の際も、すぐに対応できます。

デメリット

  • 事務取扱担当者
    法定調書の作成などマイナンバーを取り扱う事務の範囲を明確化した事務に従事する、事務取扱担当者を明確にする必要があります。マイナンバーが適切に管理されるように、人員体制を整える必要があります。
  • セキュリティ対策の強化
    マイナンバーデータを保存しているパソコンやサーバへのログイン実績やアクセスログなどを記録します。情報漏えいを防ぐため社内体制を整備し、定期的な点検も行う必要があります。また、外部から不正アクセスを受けないように保護することも必要です。
  • 保管場所の確保
    紙で収集した場合、収集した書類の保管場所を確保しなければなりません。施錠でき、盗難や担当者の持ち出し防止など、情報漏えいリスクを徹底することが必要です。

そのほかにも、「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」で細かく定められています。自社で収集保管を行うのは大きな負担となります。
未提出の方への催促や、書類不備の方への再提出依頼、短い期間での法定調書の作成も大きな負担となります。

【参照元】特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)(令和6年5月一部改正)

外部委託する

マイナンバーの収集・管理や、法定調書の作成は外部委託が可能です。マイナンバーの収集だけを委託すること、全てを委託するなど外部サービスによって対応が可能となります。

メリット

  • 業務の負担軽減
    すでにシステムが構築されているため、比較的早く委託することができます。また他社の対応の知識があるため、収集目的の作成や、未提出の方への対応なども素早くできます。
  • 法改正に対応できる
    マイナンバーの場合「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」に変更があった際も、システムの改修も任せることができます。
  • マイナンバー管理体制の構築が不要
    マイナンバーの保管、法定調書の提出代行を委託することで、自社でマイナンバーに触れずに済むため、マイナンバー管理体制を構築する必要が不要となり、マイナンバーを自社で扱うという物理的・心理的負担が軽減します。
  • 法定調書の作成と提出
    作成に必要なデータを渡すだけで、短期間で作成できます。電子申告や提出代行も可能なサービスもあります。手間を大幅に軽減できます。

デメリット

  • コストが発生する
    マイナンバーの収集件数や、保管件数、法定調書の作成枚数の他に、初期費用や構築費用など毎月費用が発生し負担になります。
  • 委託先の選定の重要性
    マイナンバーに関する業務委託した場合でも、監督義務がある依頼主であるため、委託先を選定する際は慎重に判断する必要があります。

外部委託にはメリットもありますが、委託先のセキュリティ対策状況を確認するのは重要です。
システム的な対策としては、アクセス制御の徹底、パスワード管理の強化、不正ログイン検知システムの導入、情報漏えい防止のための暗号化技術の利用など、人的な対策には、担当者に対する定期的な情報セキュリティ教育の実施、業務ルールの明確化と確実な運用などがあります。

まとめ:マイナンバーに関する業務委託ならヤマトシステム開発へ

マイナンバーは、個人情報の中でも最重要情報の一つです。収集から保管まで、高セキュリティ下による厳格な管理が求められます。業務に関わる担当者は必要最低限にとどめ、担当者には継続的な教育が必要となります。
ヤマトシステム開発では、安全な環境でマイナンバー収集から保管や廃棄、さまざまな調書作成までおこなっています。マイナンバー収集方法は、Webと郵送があるため収集対象者の環境を選びません。安全なマイナンバーの取扱いでお悩みの際には、お気軽にご相談ください。

マイナンバー情報収集~法定調書の作成・提出のご支援事例

ヤマトシステム開発の提供する「証明書類Web取得サービス」を利用することで、高セキュリティ環境で簡単にWeb上でマイナンバー情報を収集することができます。
  本人確認業務(BPO業務)の委託も可能で、お客さまはマイナンバー情報に触れずに収集が可能で、さらに「マイナンバー収集代行サービス」と掛け合わせることで、12桁のマイナンバー情報の保管の必要もない運用体制を実現でき、法定調書の作成まで対応ができます。
また、対応可能な法定調書の種類も多く、第二種金融商品取引業で多く使用されている<匿名組合契約等の利益の分配の支払調書>にも対応しております。そのほかの対応可能な法定調書はこちらよりご確認いただけます。
導入企業さまは、銀行、証券、信託、クラウドファンディング運営会社、仮想通貨業など金融業界以外にもさまざま業界で導入しております。

導入事例は以下よりご確認いただけます。

関連サービス

マイナンバー収集代行サービス
マイナンバー収集代行サービス
マイナンバーに係わる収集・保管などの各業務をワンストップでご提供!さまざまな調書作成までおこなっています。

関連サービス

証明書類Web取得サービス
証明書類Web取得サービス
Webのみで本人確認書類回収完了し業務の効率化を実現!申し込みに必要な各種書類の取得、書類の目視確認も可能です。
  • このエントリーをはてなブックマークに追加