ギグワークとは?ギグワーカーへの報酬の支払いについて解説

近年、働き方が多様化する中で注目を集めるギグワーカー。ギグワーカーとフリーランス、給与と報酬の違いや、報酬の支払方法など、まだ馴染みのない方も多いのではないでしょうか。本記事では、ギグワーカーへの報酬の支払方法について解説します。記事を通して、ギグワーカーへの報酬支払いの仕組みを理解しましょう。
ギグワークとは?
ギグワークとは、「Gig(ギグ)」とは音楽用語でライブハウスなどでの短いセッションを表し、「Work(ワーク)」は「仕事」を表し、組み合わせてできた言葉です。デジタルプラットフォームを利用して、雇用関係を結ばずに単発・短時間で働くことを指します。
ギグワークの大きな特徴は、「企業と労働者の間に雇用関係がない」・「成果を求められる業務が少なく、時間単位での契約をする」という点にあります。
このようなギグワークで働く人を「ギグワーカー」、ギグワークで形成されている経済圏を「ギグエコノミー」といいます。
主に企業がギグワーカーに仕事を発注する、業務委託の形となるため、ギグワーカーは個人事業主として扱われています。
ギグワーカーは好きなタイミングに、例えば1~3時間といった短い時間で働くことが可能で、継続して同じ仕事をする必要もないため、人間関係のストレスが少なく自由度が高い仕事として知られています。
なお、業務委託や請負の契約をしていても、働き方の実態から労働者であると判断される場合には、労働法の保護を受けることができます。
労働契約に関する詳細は、以下の厚生労働省のホームページもご確認ください。
外部リンク:厚生労働省「労働契約(契約の締結、労働条件の変更、解雇等)に関する法令・ルール」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/index.html
フリーランスとギグワーカーの違い
フリーランスとギグワーカーは、どちらも雇用契約がなく、業務委託などを結んで働く形態ですが、両者には大きく違う点があります。それは、報酬の対価が成果物か時間かという点です。
フリーランスは案件などの単位で仕事を受けるため、成果物にかける時間の長さに関わらず、成果物に対して報酬が発生します。しかし、ギグワーカーは時間単位で仕事を受けるため、働いた時間に対して報酬が発生します。
そのため、フリーランスには専門性が高いかつ長期にわたる案件が多く、ギグワーカーには単発、かつ専門性の少ない簡単な仕事が多くなる傾向があります。
また、雇用契約がない点は同じですが、フリーランスは業務委託の契約をクライアントである企業と直接結んで受注するのに対して、ギグワーカーはプラットフォームを通して仕事を受注します。
そのため、フリーランスは企業から直接報酬を支払われますが、ギグワーカーはプラットフォーマーから支払われます。
フリーランスとギグワーカーの違いは上記の通りですが、ギグワーカーとフリーランスをはじめとする他の労働形態には、税金などの制度上の違いもあるのでしょうか。
税金などの制度上での違い
ギグワーカーと他の労働形態では、税金や社会保険の扱いなどの点において、いくつかの違いがあります。 以下に、ギグワーカー・フリーランス・法律上の労働者における代表的な違いを記載します。
ギグワーカー | フリーランス | 法律上の労働者 | |
---|---|---|---|
契約 | プラットフォーム経由での業務委託 | 直接契約などの業務委託 | 雇用 |
支払 | 報酬 | 報酬 | 給与 |
健康保険料 | 自己負担 | 自己負担 | 企業と折半 |
労働保険 | 任意加入 | 任意加入 | 必ず加入 |
有給、残業代 | なし | なし | あり |
最低賃金 | 適用されない | 適用されない | 適用される |
働き方 | 自分の裁量 (基本は時間単位) |
自分の裁量 (基本は成果物単位) |
企業の指揮監督下 |
税制上の扱い | 個人事業主 | 個人事業主 | 労働者 |
支払いの扱いや健康保険料などの社会保険への加入、有給や残業代や最低賃金に関する制度上で大きく違いがあると言えるでしょう。
なお、税制上では、ギグワーカーは個人事業主として扱われます。そのため、他の個人事業主扱いの労働形態と同様に累進課税制度が適用されます
給与と報酬の違いとは
ギグワーカーは、特定の雇用契約を結ばずに、単発の仕事を受注して賃金を受け取る働き方です。そのため、企業側は賃金を給与ではなく報酬として支払うことになります。
法律上の労働者に支払う給与と、ギグワーカーなどに支払う報酬の大きな違いは、収入の種類や税金の計算方法になります。
【収入の種類】
給与は、雇用契約を結んでいる前提で、働いた対価として支払う金銭のことを指しており、給与所得として扱われます。そのため、給与所得者は年末調整で税金の清算を実施します。
一方で、報酬は雇用契約のない個人事業主や法人相手に支払う対価を指しています。そのため、報酬は事業所得として扱われ、報酬を受け取る側は確定申告などで税金の申告を実施する必要があります。
【税金の計算方法】
- 所得税
所得税においては、給与の場合、金額から源泉徴収税額を算出して差し引いた金額を支払います。
しかし、報酬の場合には、総収入金額から必要経費を差し引いた金額が所得となるので、所得から所得控除を引いた金額が課税所得となり、金額に応じて所得税率が決まる仕組みとなっています。また、所得税に加えて住民税も支払う必要があります。 - 消費税
給与の場合は、給与支払者が消費税を上乗せしない仕組みとなっているため、受け取り側も消費税を引かれていない金額を受け取ることになります。
一方、報酬の場合には、消費税は報酬に含まれていないとみなされるため、支払い者は消費税を上乗せして支払い、受け取り側は消費税が差し引かれた金額を受け取ることになります。
その際、受け取り側が消費税の納税義務者である場合には、消費税を受け取った分を国に納める必要があります。
なお、給与は2023年4月のデジタル給与解禁までは電子マネーでの支払いができませんでしたが、報酬は給与ではないため、2024年4月以前から電子マネーでの支払いをすることができました。
このように、給与と報酬には明確な違いがあるため、ギグワーカーへの支払い時には注意が必要です。
ギグワーカーへの報酬の支払方法
仕事に対する対価が給与ではなく報酬として支払われるギグワーカーですが、基本的にはプラットフォームを経由して報酬を受け取っています。 支払方法としては、銀行振込のほか、キャッシュレス支払いも行われています。
特にキャッシュレスでの支払いを好むギグワーカーが多いと言われていますが、その理由とは一体何なのでしょうか。
キャッシュレスでの支払いが好まれる
普段からデジタル上のプラットフォームを使用しているギグワーカーにキャッシュレスでの支払いが好まれるのは、利便性が高く、普段から使い慣れているサービスで報酬を受け取ることができる点が大きいでしょう。
最近では、スマートフォン向けの決済サービスを提供している企業でもギグワーカー向けのサービスが開始されており、銀行口座からチャージする手間もなく、受け取った報酬をそのまま多くのコンビニやスーパーなどで利用できます。そのため、キャッシュレスでの報酬支払いが好まれています。
キャッシュレスで報酬を支払うメリットとは
ギグワーカーへの報酬をキャッシュレスで支払うメリットは、以下のような点が挙げられます。
【企業側のメリット】
- 手数料: 支払う際の手数料が銀行振込に比べて安く、支払いに関するコストを削減できる。
- 送金タイミング: 銀行などのように営業時間に縛られず、いつでも送金が可能なため、送金に関する手間を削減できる。
- 口座情報: 口座情報を聞かなくても、送金することができる。煩雑な手続きや情報管理をする必要がない。
- 満足度: ギグワーカーの要望に沿った支払いを行うことができるため、ギグワーカーから企業への印象や満足度が上がり、ギグワーカーとの関係性が良好になる。
【ギグワーカー側のメリット】
- 手数料: 銀行口座からチャージしたり送金したりする必要がないため、手数料がかからない。
- 受け取りタイミング: 自動でキャッシュレス決済サービスに反映されるため、いつでも受け取りができる。
- 口座情報: 口座情報を伝えなくても報酬を受け取れるため、口座情報を間違えて受け取りが遅れるなどのトラブルを避けられる。
- 満足度: 普段使い慣れている手段で報酬を受け取ることができるため、満足度が上がり、企業との関係性も良好になる。
銀行振込の場合は、企業とギグワーカーともに手数料や送金・受け取りタイミングなどの手間が多くありますが、キャッシュレスで支払う場合にはそういった手間が軽減され、企業とギグワーカーの双方で利便性や満足度が上がるでしょう。
ギグワーカーに業務を依頼することの多い企業は、自社の状況や自社の依頼を受注するギグワーカーの傾向を踏まえた上で、キャッシュレスでの支払いを導入するか検討してみましょう。
マルチバリューチャージサービスのご紹介──ヤマトシステム開発
ヤマトシステム開発では、報酬などの支払いにもご利用いただける「マルチバリューチャージサービス」をご提供しています。
企業から個人への支払いをキャッシュレス化できるだけでなく、複数のキャッシュレス決済サービスに対応しており、専用Webサイトからの支払い依頼で支払いが完了するため業務負荷を増やさずに導入が可能です。
また、手数料も銀行振込よりも安価なため、送金業務の経費削減も見込めます。
受け取り側のギグワーカーも多様な決済手段から選択してリアルタイムに受け取ることが可能なため、満足度が向上します。
ギグワーカーへの支払方法にお悩みの企業担当者は、この機会に、マルチバリューチャージサービスの導入もご検討されてみてはいかがでしょうか。
関連サービス

- マルチバリューチャージサービス
- 企業から個人への支払いをキャッシュレス化!報酬、返金、経費精算など幅広い支払いにご利用いただけます。
活用事例──株式会社セルフィット DIAq(ダイヤク)
ヤマトシステム開発のマルチバリューチャージサービスの導入事例をご紹介します。
株式会社セルフィットは、配送クラウドソーシングアプリ「DIAq(ダイヤク)」を提供しており、すぐに荷物を届けてほしい場合に近くにいる配達員への依頼が可能です。DIAqの配達員の確認作業や、報酬受け取り方法やタイミングに以下の課題があると感じていました。
【課題点】
- 月1回の銀行振込のみでは配達員の要望に応えられていなかった。
- 登録された銀行名や口座番号の確認作業が業務上の負担となっていた。
配達員によって受け取りたいタイミングはさまざまであり、報酬の受け取り方やタイミングはギグワーカーがプラットフォームを選ぶ上で重要なポイントとなります。しかし、「ある程度、報酬を貯めてから受け取りたい」という配達員だけでなく、「なるべく早く報酬を受け取りたい」と考える配達員もおり、配達員達の働き方に応えられていませんでした。
また、銀行振込では銀行名や口座情報が正しくなければ振込が行えませんが、入力不備が多くあり、確認作業が日々の業務の負担となっていました。 そうした課題を解決するため、株式会社セルフィットはマルチバリューチャージサービスを導入し、以下のような成果を上げました。
- 最短翌日・好きなタイミングでの出金が可能となり、配達員が受け取りたいタイミングで受け取れるようになった。
- 業務を停止していた配達員の稼働に繋がった。
- 銀行振込件数が減少し、振込に関する情報の確認作業の負担が減った。
マルチバリューチャージサービスについての詳細は、以下のサイトよりご覧ください。
関連サービス

- マルチバリューチャージサービス
- 企業から個人への支払いをキャッシュレス化!報酬、返金、経費精算など幅広い支払いにご利用いただけます。
本事例については、以下のサイトで詳細な資料をダウンロード可能です。
マルチバリューチャージサービス(LP) 資料ダウンロード(セルフィット様事例)
まとめ:ギグワーカーへの報酬支払いには、キャッシュレスで支払うサービスも活用しよう
近年、広がりを見せつつある単発の仕事などで報酬を得るギグワーカーですが、報酬の受け取り方や受け取りタイミングの希望はギグワーカーごとに違います。そのため、ギグワーカーに業務を依頼したい企業においては、報酬のキャッシュレス支払も含めた「ギグワーカーの要望に応えるための仕組み」を構築していく必要があるでしょう。
そうしたギグワーカー向けの仕組みを構築する際には、複数の決済手段に対応しているサービスも活用して、業務負荷をなるべく増やさない方法を検討することが大事です。
ギグワーカー向けの報酬の支払方法にお悩みの企業担当者は、ぜひヤマトシステム開発にご相談ください。