インベントリ管理とは?重要性と課題解決方法を解説

近年パソコンに限らず、スマートデバイスなどが1人1台利用されるようになる機会が増えつつあり、使用状況などの管理が多岐にわたり重要になっています。 インベントリ管理は、企業が持つIT資産を適切に管理し、セキュリティ強化やコスト削減、コンプライアンス強化を実現するための鍵です。しかし、膨大なデータを常に最新の状態に保つのは容易ではありません。 インベントリ管理の基本やその重要性、課題解決のための専用ツールの選定方法までを解説します。
インベントリ管理とは?
インベントリ管理とは、企業が保有するIT資産を管理するための機能です。パソコンやスマートフォン、タブレットなどのハードウェア機器が対象になっています。
インベントリ管理の基本概要
インベントリ管理は、企業が所有するIT資産であるパソコンやスマートフォン、タブレットなどのハードウェア機器のスペック情報の製品名やCPU、ハードディスク容量、メモリなどのほか、機器にインストールされているソフトウェア、バージョン、OS、セキュリティパッチの適用状況などが含まれ、それらを一元管理することを指します。
近年では1人1台のパソコンだけではなく、スマートフォンやタブレットなどのスマートデバイスや、Wi-Fiなども支給されIT資産の管理対象は多くなっています。
インベントリ管理は、ハードウェアやソフトウェアの情報を正確に把握でき、常に最新の状態を維持することを目的としています。
これにより、IT資産の過不足を防ぎ、適切なタイミングでの更新や廃棄ができます。
インベントリ管理は、組織全体のIT資産の可視化を実現でき、使用状況やライフサイクルを把握することで、不要なコストを削減できます。さらに、コンプライアンスの順守やセキュリティリスクの低減にも寄与し、企業の信頼性を向上できます。
インベントリ管理の目的と役割
インベントリ管理の目的と役割は、企業におけるIT資産の効率的な運用と保護を図ることにあります。具体的には、企業が所有するIT資産情報を整理し、各IT資産の利用状況を把握することで、最適なリソース配分を実現するのが第一の役割です。
過剰なIT資産やソフトウェアなどの購入を避け、無駄なコストを削減することができます。インベントリ管理はセキュリティの向上にも寄与します。企業内におけるIT資産の所在と状態を常に把握することで、情報漏えいや不正アクセスのリスクを最小限に抑えることができます。
ライセンスの適正管理を確実に行うため、インベントリ管理は欠かせません。企業は法的リスクを回避し、社会的信用を保持することができます。
IT資産のライフサイクルを管理し、更新や廃棄のタイミングを的確に判断することで、常に最新の状態を維持することで技術環境を維持できます。インベントリ管理は単なるIT資産管理を超えて、企業の戦略的運営を支える重要な役割を担っています。
インベントリ管理の重要性
インベントリ管理は、企業のIT資産を適切に管理し、効率的な運営を支える重要な活動です。
セキュリティ強化、コスト削減、コンプライアンス強化の3点について解説いたします。

セキュリティ強化
インベントリ管理におけるセキュリティ強化は、アップデートされていないOSやソフトウェアを簡単に見つけ出すことができるため、古いOSやバージョンを使用しているIT資産のアップデートを行うことができます。最新のバージョンなどには、セキュリティパッチが含まれており、脆弱性を修正することで、サイバー攻撃やウイルス感染のリスク軽減につながります。IT資産と利用者情報を紐づけて管理することで、利用者不明な機器の放置を防ぐことができるため、探す手間の軽減にもつながります。
コスト削減
インベントリ管理を適切に行うことで、過剰な在庫の蓄積を防ぐことができるため、無駄な資産の購入や保管にかかる費用を削減します。例えば、IT資産と利用者情報を紐づけて管理することで、退職した場合など移管や返却、廃棄対象のIT資産がすぐにわかり、コスト削減にもつながります。
IT資産の利用状況を正確に把握することで、実際に必要な数を見極めることができるため、不要なIT資産やソフトウェアなどの購入を未然に防ぐことができ、コスト削減にもつながります。
また、企業全体のIT資産の最適化が図られるため、運用コストの削減にもつながります。
コンプライアンス強化
企業は常に法律や規制を遵守する必要があります。インベントリ管理を適切に行うことで、コンプライアンス強化に直結する重要な役割を果たします。
使用可能なソフトウェアなどのライセンス数や期限の適切な管理ができ、設置場所や利用者、使用履歴といった情報を随時管理できます。例えば、誤って1人用のソフトウェアを複数人で使ってしまうようなケースを防ぐことができます。OSのアップグレード時は、古いOSから削除され、新しいOSにインストールされているかの管理もできます。
このような違反は会社全体の責任問題に発展する可能性があるため、IT資産やソフトウェアなどの所持している数が多いほどリスクは大きくなります。コンプライアンス遵守するためにも、IT資産やソフトウェアなどを正確に把握しておくことが非常に重要です。
これらを通じて、企業は競争力を維持し、持続可能な成長を実現できます。
インベントリ管理の効果を最大限に引き出すためには、全社員がその重要性を理解し、ルールを遵守することが求められます。
インベントリ管理の課題
インベントリ管理は重要性が高く、課題が存在します。人為的ミスを防ぎ効率的な運用を行うためには専用ツールの導入が不可欠です。
膨大なデータ量
企業が保有するIT資産はパソコンやスマートフォンやタブレットなどのハードウェア機器のスペック情報の製品名やCPU、ハードディスク容量、メモリなどのほか、機器にインストールされているソフトウェア、バージョン、OS、セキュリティパッチなど多岐にわたります。日々対象数の増減もあるため効率的に管理する必要があります。
データ量が膨大であるため、手動での管理は非効率であり、人為的ミスの原因となります。特に、従業員数が多い企業や多拠点展開をしている場合は、データの一元管理が更に非効率で、各部門や拠点ごとに行うと管理体制が異なることもあり、整合性を確保するのが困難です。
常に最新の情報を保つ
インベントリ管理において、常に最新の情報を保つことは、正確な判断と迅速な対応を可能にするための基盤です。IT資産やソフトウェアに関する情報は、利用状況の変化やアップデートによって古くなっていきます。状況に応じて最新の状態に保つ必要があります。
適切な管理を行うには、資産を購入した時点の情報だけでは不十分であり、定期的な情報収集が欠かせません。しかし、利用状況のデータを台帳への手入力といった方法で行うことは限界があり、人為的ミスにつながります。
専用ツール導入
インベントリ管理において専用ツールの導入は、効率的な資産管理を実現するための重要なステップです。
膨大なデータを手動で管理するのは非現実的です。専用ツールを使用することで、リアルタイムでの更新、IT資産やソフトウェアなどの自動収集が可能になり、一元管理が容易にできます。
人的ミスを減少させることができ、リアルタイムでの情報収集できるため、IT資産の現状を常に把握することができ、古いOSやバージョンを使用している場合はすぐに見つけることができアップグレードなどの対応ができます。ライセンスの使用可能数や使用期限も把握できるため、ライセンス違反を起こす可能性が低くなります。
インベントリ管理の専用ツールの選び方
自社に適した専用ツールの選定
インベントリ管理の専用ツールを選定する際には、自社のニーズや規模、業務フローに適合したものを選ぶことが重要です。必要な管理対象をリストアップします。以下のような対象があります。
管理対象 | |
---|---|
ソフトウェア | OS・アップグレード状況 使用しているアプリケーション、およびバージョン ライセンス情報 ウイルス対策ソフトの状況 など |
ハードウェア | 機器名 スペック情報 メモリ・ディスク容量 IPアドレス 利用者 など |
ライセンス関連 | 保有ライセンス数 利用状況 有効期限 など |
ログ関連 | ソフトウェアの起動状況 ファイル操作状況 外部のネットワークへの接続状況 など |
導入時の注意点
インベントリ管理の専用ツールの導入時には、現行システムで管理している場合は、導入する専用ツールが自社の現行システムや業務フローとどの程度互換性があるかを確認します。互換性がない場合、追加の開発やカスタマイズが必要となり、導入コストや時間が増える可能性があります。導入する専用ツールが他の業務システムやデータベースと連携できることで、データの一貫性と効率を高めることができます。
操作性も重要な要素です。ユーザーインターフェースが直感的で分かりやすく、簡単に利用できるツールを選ぶと、導入後の教育コストを削減できます。
導入する専用ツールのサポート体制を確認し、トラブル発生時に迅速に対応してもらえるかを確かめることも大切です。導入後の問題解決や継続的なメンテナンス支援により、日々の運用での安心感が得られ、運用中のトラブルを最小限に抑えることができ、インベントリ管理の効果を最大化することができます。
専用ツールを導入することで、定期的に自動でデータ収集が可能となり、人為的なミスを減らし、管理の精度を高めることができます。
まとめ:必要な機能のみのツールを導入
膨大なデータを手作業で管理することは非常に困難であり、人為的ミスのリスクも高まります。精度と効率を高めるためには専用のツールでの管理をすることが重要です。特に、従業員数が多い企業や多拠点展開をしている場合はツールの導入は不可欠です。ツール導入には自社の目的に合った機能を備え、使いやすいものを選ぶことが重要となります。 ヤマトシステム開発では、インベントリ管理(IT資産管理)の運用を支援する「IT資産運用最適化サービス」を提供しています。
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