銀行や金融機関がペーパーレス化を成功させる手順と具体策

公開日:2024/03/22
最終更新日:2026/03/26
政府主導のデジタル化推進と社会全体のデジタルシフトを背景に、銀行・金融機関の現場でもペーパーレス化が進んでいます。このペーパーレス化は単なるコスト削減策に留まらず、業務効率化やSDGs・ESG経営への貢献、そして顧客情報の安全性を高めるセキュリティ強化という、多岐にわたる重要なメリットをもたらします。
この記事では、銀行・金融機関でペーパーレス化が加速している理由、取り組み方法を掘り下げます。導入による具体的な成果、成功に導くための具体的にペーパーレス化を推進するサービスについても解説します。
銀行・金融機関のペーパーレス化が進んでいる背景
銀行・金融機関のペーパーレス化が進んでいる背景には、政府によるペーパーレス化の推進や世の中のデジタルシフトがあります。
2005年、e-文書法の施行で、それまではさまざまな法律で「紙での保存」が義務付けられていた法定文書(契約書、申込書、領収書など)について、「電子データで保存」が認められました。
2022年には電子帳簿保存法の改正で、主に税金に関する帳簿や書類(請求書、領収書、契約書など)を、「電子データで保存」するためのルールを定めました。取引先である一般企業が電子帳簿保存法に対応するためには、銀行・金融機関からの取引明細や振込受取書などを電子データで適切に管理する必要がありました。銀行・金融機関はそのニーズに応える形で、紙の通帳や利用明細の郵送を廃止し、Web明細(電子データ)へ移行する動きが加速しました。
スマートフォンの普及により、顧客が金融機関に求めるサービス形態は変化しています。店舗の窓口に行かなくても、24時間365日、スマートフォンやパソコンから口座開設、振り込みなどを完結させる方法が進んでいます。書類の郵送や手書きの記入、印鑑の押印といった手間が不要になり、手続きが簡素化され、サービス提供までのスピードが従来と比較して短期間になっています。
ペーパーレス化により業務のさまざまな場面でメリットを享受できます。
銀行・金融機関がペーパーレス化に取り組むメリット
銀行・金融機関がペーパーレス化によって得られるメリットは、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
業務効率化と働き方改革
銀行・金融機関は膨大な紙を使用した事務作業を抱えており、これを効率化することが急務となっています。
紙の書類では保管スペースに大きな容量を割いてしまうため、必要な書類を見つけ出してすぐに取り出すことが難しくなっていました。電子データであれば物理的に探し出す手間が省け、システム上で検索できるようになります。
また、紙の書類の場合発生していた消して書き直す、印刷し直すといった紙特有の手間が削減できます。紙の書類の場合、1人の行員が書類を使用している間、ほかの行員はその書類の閲覧や使用ができません。電子データ化することでこのような課題の解決に大きく貢献します。
さらに、紙がデジタル化することで、出社しないと業務ができないという制約が減り、外出先やテレワークなど柔軟な働き方(働き方改革)への対応が可能になります。
コスト削減と保管スペースの削減
紙の書類の作成には紙を使用するだけではなく、印刷代やインク代も発生します。郵送が必要な場合は、郵送代以外に封入封緘作業といった人的コストも発生します。
また、契約書などは会社法、労働基準法などにより一定期間の保存が義務付けられている法定保存文書を保管するためのスペースが必要になります。保管期限が過ぎた書類や不要になった書類は安全に破棄するためのコストが不要になります。
電子データにすることで、印刷代やインク代などの削減や、保管スペースの削減につながります。電子データであればデータをクラウドで管理できるため、物理的な保管スペースが必要ありません。オフィスや行内のスペースを別の用途に有効活用できます。
SDGs・ESG経営への対応
社会的なトレンドや法律の変化も、ペーパーレス化を強力に後押ししています。
紙の使用(消費)を減らすことで、森林保護やCO2削減に貢献するため、SDGs(持続可能な開発目標)への取り組み、ESG経営(環境・社会・ガバナンス)につながります。
木から作られる紙の使用を制限するペーパーレス化は、SDGsの17の目標のうち、「12 つくる責任・つかう責任」「13 気候変動に具体的な対策を」「15 陸の豊かさも守ろう」に関連します。間接的に森林を保護することにもつながります。SDGsやESG経営への取り組みを行うことは、銀行・金融機関がペーパーレス化を通じて企業価値の向上にも効果をもたらします。
セキュリティを強化できる
多くの機密情報を取り扱う銀行・金融機関において、紙の弱点は物理的に無くなってしまうリスクがあります。
持ち運び中の置き忘れ、ほかの書類に紛れて誤ってシュレッダーにかけてしまうといった人的ミス(ヒューマンエラー)があります。電子データの場合、物理的に無くすことがありません。システム側で、外部メモリへのコピー禁止、印刷の禁止、閲覧(アクセス)制限といった制限をかけることで、外部への持ち出しや、関係者以外の閲覧を物理的にもシステム的にも防げます。
また「誰が、いつ、どのパソコンから、どのデータを開き、編集したか、ダウンロードしたか」というすべての操作履歴(ログ)が記録されます。ページを差し替えられたり、数字を書き換えられたりするリスクが減少します。
銀行・金融機関がペーパーレス化を成功させるための手順
銀行・金融機関におけるペーパーレス化にはさまざまなメリットがありますが、対応方法としては単に今ある紙をスキャンしてPDFにするだけでは不十分です。紙を前提とした業務そのものを、電子データ(ペーパーレス化)への運用へ切り替えることが必要です。
ペーパーレス化は、社内一丸となって取り組むべきことです。なぜ取り組むのか、重要性を社内へ周知することは大切なポイントです。

Ⅰ. 現状の棚卸しと課題の洗い出しと対象業務の選定
行内のどこに、どのような紙(契約書や顧客の本人確認書類など)が存在し、どう運用しているか(保管場所や保管期間、閲覧可能者など)を把握します。
すべての業務を一気にペーパーレス化しようとすると、現場が混乱します。顧客への影響が少ない社内の経費精算や稟議書の決裁業務など、効果が出やすい業務から着手します。
Ⅱ. ペーパーレス化を実現するための業務フローの再構築
ペーパーレス化を進める前に、体制を整える必要があります。
例えば決裁書の複数の関係者捺印を、リレー形式のままシステム上で再現する必要があるのか、入力されたデータが、他のシステムに自動で連携される仕組みがあれば二度入力する必要がなくなるなど、業務フローの見直しをします。
Ⅲ. 課題解決、セキュリティ要件を満たすツールの選定
銀行・金融機関ならではのセキュリティ基準(FISC安全対策基準など)をクリアするツールを選定します。
例えば電子署名、タイムスタンプ、細やかなアクセス権限設定、操作ログが取得できる機能が備わっているかなどを確認します。導入するツールが、現在使用しているシステムとスムーズに連携(API連携など)できるかなどを確認します。
Ⅳ. 社内への教育とルールの徹底
優れたツールを入れても、行員が使いこなせなければ意味がありません。
ITリテラシーには個人差があるため、直感的に操作できる分かりやすいマニュアルを用意し、行員へ教育を実施します。法改正やセキュリティ基準の変化に対応するため定期的に教育を行い、知識のズレを防ぎます。また社内規程を改定します。
銀行・金融機関がペーパーレス化を推進するための具体策
実際に銀行・金融機関がペーパーレス化を推進する際には、どのようなツールやサービスの導入が必要なのでしょうか。
本人確認書類収集サービス
銀行・金融機関は犯収法に基づき、口座開設やローン申し込み際に、本人確認書類の確認を行う必要があります。
2027年4月犯収法改正で、特定事業者である金融機関等(銀行、信用金庫、保険会社、金融商品取引業者など)は、マイナンバーカードのICチップで読み取る、公的個人認証サービス(JPKI)へ原則一本化する予定です。お客さまに本人確認書類のコピーを郵送してもらったり、窓口で原本を持参してもらったりして本人確認を行っていましたが、お客さまと銀行・金融機関それぞれの負担が大きく、時間や労力がかかってしまっていました。
本人確認書類収集サービスの導入により、口座開設やローン申し込みがオンラインで完結できれば、銀行・金融機関も本人確認書類の手間がかからずお客さまの負担も減らせます。口座開設やローン申し込みに必要な各種書類画像も一緒に収集することで、さらに負担が軽減します。
電子配信サービス
CSVデータをアップロードするだけで、請求書や注文書などの各種帳票を、PDF化から取引先への配信までを自動化できます。
取引先の希望に合わせて電子配信以外にも、ペーパーレスのインターネットFAX送信も選択できます。手作業による封入ミスや、それに伴う情報漏えいリスクを低減します。
郵便物の場合、到着まで数日かかりますが、電子配信ならデータを作成したらすぐに取引先へ届けることができます。取引先が開封したか、ダウンロードしたかなどのステータスをほぼリアルタイムで追うことができます。
銀行・金融機関におけるペーパーレス化の成功事例
すでに多くの銀行・金融機関がペーパーレス化に取り組んでおり、成果を上げているところもあります。以下、具体的な成功事例をまとめているので、ペーパーレス化の導入の参考にしてください。

マニュアル作成ソフトの導入によるペーパーレス化と業務効率化
大手銀行では、これまで紙主体であった社内の業務マニュアルや研修資料を、全行員へのタブレット配布を機に動画コンテンツへ移行させるプロジェクトが発足しました。
文字ばかりの業務マニュアルではなく、映像や声などの動画コンテンツで作成することになり、システム環境含めて作成ソフトの選定を行いました。
サービスを導入した結果、パソコンスキルが高くない行員でも、画面操作を自動で記録する機能を使用して、直感的にマニュアルを作成することができました。研修で理解しきれなかった部分も、後から動画やチュートリアルで復習できる環境が整い、運用が非常にスムーズになりました。
業務デジタル化・ペーパーレス化のための総合システム
九州を拠点とする地方銀行では、生産性の向上を課題として位置づけていました。その解決策として事務簡素化とペーパーレス化に着目し、導入済みのタブレット端末を活用して、渉外係が店舗外で行う物品(現金や通帳など)のお預かり業務や各種期日管理業務のペーパーレス化を目指しました。パブリッククラウドを活用したシステムであり、将来のサービス拡充を見据えたことで導入を決めました。
サービスを導入した結果、タブレット端末での預かり物件の登録・管理を実現したことで、事務の負担やミスが減少しました。預かり・返却、店内授受、融資関連書類など、5分野の業務における12種類の管理帳票(紙)を廃止できました。
ペーパーレス化でDXを推進しよう
このように、ペーパーレス化を促進することによって銀行・金融機関は業務効率化やコスト削減などの多くのメリットを得られます。ペーパーレス化はDX(デジタルトランスフォーメーション)のひとつのため、これを機に社内の諸問題をDXにより解決してみてはいかがでしょうか。
ペーパーレス化による本人確認業務の効率化を検討しているのなら、「証明書類Web取得サービス」がおすすめです。2027年4月に予定されている犯収法改正の公的個人認証サービス(JPKI)に対応しています。オンラインで本人確認書類を収集できるだけではなく、本人確認書類以外にも申し込みに必要な各種書類画像も一緒に収集することで、ペーパーレス化につながります。
取引先へ送付する請求書や発注書などの帳票の電子配信を検討しているなら、「帳票Web配信サービス」がおすすめです。CSVデータをアップロードすることで、各種帳票のPDF化から配信まで対応します。通信のSSL暗号化やパスワード設定はもちろん、Web上で各帳票の「開封・到達確認(トラッキング)」がほぼリアルタイムで行えます。
関連サービス

- 証明書類Web取得サービス
- Webのみで本人確認書類回収完了し業務の効率化を実現!申し込みに必要な各種書類の取得、書類の目視確認も可能です。
関連サービス

- 帳票Web配信サービス(クラウド)
- 紙から電子帳票配信へ切り替えてコスト削減とペーパーレス化を実現!適格請求書(インボイス)対応も対応できます。





