1. TOP
  2. media
  3. コラム
  4. AML / KYC / CFTとは?企業が金融庁から求められていることを解説

AML / KYC / CFTとは?企業が金融庁から求められていることを解説

AML / KYC / CFTとは?企業が金融庁から求められていることを解説

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
AML / KYC / CFTとは?企業が金融庁から求められていることを解説

「マネー・ローンダリング」対策のひとつとして、「AML / KYC」が挙げられます。マネー・ローンダリングは、日本では「資金洗浄」とも呼ばれており、正当な取引や合法的なビジネスへの資金提供と見せかけた犯罪行為です。年々、その手口が巧妙化してきているため、企業側では、十分なAML / KYCの実施が欠かせません。本記事では、AML / KYCやCFTなどの概要をはじめ、企業が金融庁から求められていることを解説していきます。

 

 

AML / CFT / KYCとは?

まずはAML / CFT / KYCの用語を解説します。

AMLとは

AMLとは「Anti−Money Laundering(アンチ・マネー・ローンダリング)」の略で、マネー・ローンダリングを防ぐための対策を意味します。マネー・ローンダリングとは、犯罪によって手に入れた収益を合法的な手段と装い、出所や持ち主を不透明にさせる行為です。

CFTとは

CFTとは「Countering the Financing of Terrorism」の略で、テロ資金供与を防ぐ対策を意味します。テロ資金供与とはその名の通り、テロの実行や活動に必要な資金をテロリストに渡す行為です。

KYCとは

KYCとは「Know Your Customer=顧客を知る」の略で、本人確認手続きを意味します。さまざまな場面で使われており、金融機関などにおけるKYCは“マネー・ローンダリングなどの防止を目的とした、口座開設時に行う本人確認業務”です。

AML / KYCが企業にとって重要な理由

現在では、決済手段の多様化や取引のグローバル化の進行によって、金融取引が以前よりも複雑化してきました。それに伴い、マネー・ローンダリングに関するリスクも高まっています。

リスク対策として、多くの企業がAMLを行っていますが、マネー・ローンダリング対策およびテロ資金供与対策の実施を目的としている国際組織の「FATF(Financial Action Task Force=金融活動作業部会)」によると、日本の企業はAMLをさらに強化する必要があるようです。 企業がマネー・ローンダリングを発生させた場合、利益の損失や長年築き上げた信頼の失墜だけではなく、巨額の違法資金が犯罪組織に渡り、さらなる凶悪な犯罪が発生するリスクも考えられます。

前述した通り、AMLはマネー・ローンダリングを防ぐための対策で、テロなどの犯罪にかかわる資金供与の防止が目的です。そして、KYCは本人確認手続きを指します。企業としては、知らないうちに犯罪行為に加担しないためにも、AML / KYC、つまり「マネー・ローンダリングを防ぐための本人確認作業」が重要となってくるのです。

マネー・ローンダリングの事例

マネー・ローンダリングの事例を、警察庁の資料をもとに紹介します。

警察庁「犯罪収益移転に関する年次報告書(令和4年)」
https://www.npa.go.jp/sosikihanzai/jafic/nenzihokoku/data/jafic_2022.pdf

警察庁「犯罪収益移転に関する年次報告書(令和3年)」
https://www.npa.go.jp/sosikihanzai/jafic/nenzihokoku/data/jafic_2021.pdf

電子計算機使用詐欺事件に係る犯罪収益等隠匿

会社員の男は、自己名義の銀行口座に振込入金された犯罪収益で暗号資産を購入し、氏名不詳者が管理する暗号資産アドレスに移転したことから、組織的犯罪処罰法違反(犯罪収益等隠匿)で検挙した。

「暗号資産(仮想通貨)」とは、銀行などの第三者を介さずに、インターネットを通じて取引できるデータ資産です。暗号資産には多くの種類があり、代表的なものとして「ビットコイン(BTC)」や「イーサリアム(ETH)」などが挙げられます。これらは販売所などで他の暗号資産や、「円」や「ドル」などの法定通貨と交換することによって入手できます。

暗号資産アドレスは、いわゆる銀行でいう口座番号のようなもので、この事例は暗号資産を使って、マネー・ローンダリングを企てた事件です。 氏名不詳者が管理している暗号資産アドレスに移転したことから、今回のマネー・ローンダリングが発覚しました。したがって、本人確認業務であるAML / KYCは、大変重要なものであることがわかります。

詐欺事件に係る犯罪収益等隠匿

会社役員の男は、詐欺で得た犯罪収益等をガーナ共和国の銀行に開設された口座に送金する際、内容虚偽であるカカオ豆等購入代金の請求書を日本国内の銀行に提出するなどして正当な商取引に関する資金決済を装ったことから、組織的犯罪処罰法違反(犯罪収益等隠匿)で検挙した。


「犯罪収益」とは、犯罪によって手に入れた収入を指し、この事例は詐欺で手に入れた収入をマネー・ローンダリングした事件です。正当な商取引であると見せかけて、資金決済を行ったことで犯罪が発覚しました。

「組織的犯罪処罰法違反(犯罪収益等隠匿)」の場合、「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」によって、5年以下の懲役か300万円以下の罰金、もしくは懲役と罰金の両方が科せられます。

国際的な詐欺事件に係る犯罪収益等隠匿

会社役員の男は、アラブ首長国連邦に居住する被害者から日本の国内銀行に開設された男が管理する法人名義の口座に送金された詐欺の被害金について、正当な事業収益であるかのように装って払戻しを受けたことから、組織的犯罪処罰法違反(犯罪収益等隠匿)及び詐欺で検挙した。

組織犯罪処罰法で規制されているマネー・ローンダリングは、「法人等事業の経営支配」「犯罪収益等の隠匿」「犯罪収益の収受」の3つの行為に該当します。この事例は「犯罪収益等の隠匿」および詐欺にあたります。

マネー・ローンダリングは、以下の3つの段階に分かれています。

・資金を金融システムに組み込む「プレイスメント」
・取引を重ねて資金の出所や所在を隠ぺいする「レイヤリング」
・資金を合法的な形に見せかけて回収する「インテグレイション」

この事例では、マネー・ローンダリングを行った会社役員は検挙されましたが、本件のようにレイヤリングの段階で複数の国や地域を横断した送金は、当局の追跡が困難です。

AML / KYCに関する金融庁の取り組み

1989年、薬物犯罪に関するマネー・ローンダリングの防止のために、国際協調の必要性が高まったことにより、FATFが設立されました。FATFは、アメリカやイギリス、EC、日本など、G7を含む37か国・地域および2つの国際機関から成り立っています。

2001年の米国同時多発テロ事件を受けて、CFTについても、指導的な役割を担うことになりました。FATFの全体会議には、日本から財務省・警察庁・金融庁・法務省・外務省が参加しています。 FATFにおいて、日本は、「マネー・ローンダリングとテロ資金供与のリスクを理解しているが、AMLとCFTはさらに改善の余地あり」と見なされている状況です。

このことから、金融庁は

・2018年2月「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」を策定・公表
・2021年3月「マネロン対策ガイドラインに関するよくあるご質問(FAQ)」を策定・公表
・2022年8月 「マネロン・テロ資金供与対策ガイドラインに関するよくあるご質問(FAQ)」の改訂版公表

などのAML / CFTの取り組みを続けてきました。

また、財務省はFATFの「第4次対日相互審査報告書」を受けて、「マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策に関する行動計画」を公表しました。そこには、

「取引モニタリングの強化を図るとともに、期限を設定して、継続的顧客管理などリスクベースでのマネロン・テロ資金供与・拡散金融対策の強化を図る」


と定められています。 「継続的顧客管理」とは、口座の不正利用を防ぐため、定期的に本人確認を行うことです。そして、金融庁は2024年春までを目標に、「継続的顧客管理」の強化を計画しています。

マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策に関する行動計画
https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/councils/aml_cft_policy/20210830_2.pdf

企業が金融庁から求められていること

金融庁が2024年春までに、継続的顧客管理の強化を打ち出しているため、企業もAML / KYCを早急に進めていかなければなりません。取引内容によっては、過去の顧客情報(事業内容や株主情報など)を再度確認し、定期的に顧客情報を更新する必要があるでしょう。

また、多くのお客様に対して、定期的な本人確認の実施が求められるので、企業の業務負担や作業コストが上昇することが想定されます。

まとめ:本人確認業務は専門サービスを活用しよう

企業は、早急にAML / KYCを進める必要がありますが、膨大な顧客量を抱えるため、なかなかAML / KYCに時間を割けない、または社内業務の負担が大きすぎるなどの悩みが出てきます。本人確認(KYC)業務は、専門サービスを活用して悩みを解決しましょう。

ヤマトシステム開発の「証明書類Web取得サービス」を活用すれば、Web上で本人確認書類を回収できるので、AML / KYCである本人確認業務を効率化できます。

証明書類Web取得サービス|ヤマトシステム開発
【コラム用】証明書類Web取得サービスページ誘導バナー_655_130.png

  • このエントリーをはてなブックマークに追加