人材業界におけるDXの課題と推進の具体策! 成功事例も紹介

国内では経済産業省が警鐘を鳴らす「2025年の崖」が差し迫っており、人材業界においても「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の推進が重要な経営課題となっています。人材業界におけるDXの課題や具体的な施策について解説するとともに、DXの企業における成功事例をご紹介します。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?
「DX(Digital Transformation)」とは、デジタル技術の活用による変革を意味する概念です。2004年に当時ウメオ大学の教授だったエリック・ストルターマン氏が自身の論文のなかで提唱したもので、「デジタル技術が人々の生活をあらゆる面で豊かにしていく」といった意味合いをもつ概念として定義されました。
国内における事業領域では、「最先端のデジタル技術を戦略的に活用し、経営体制に変革をもたらすこと」といった意味合いで浸透しています。
人材業界もDXに取り組むべき理由
近年、国内でDXの推進が求められている背景にあるのは、経済産業省が「DXレポート」のなかで警告を発している「2025年の崖」です。20世紀後半から21世紀初頭にかけてIT革命が起こり、さまざまな産業でデジタル化の進展が加速しました。しかし、現在では多くの企業が老朽化したシステムを抱えており、経済産業省は2025年までにITインフラの変革を実現できなければ、最大で年間12兆円規模の経済的損失が生じる可能性があると指摘しています。
そのため、多くの産業でDXの推進が重要課題となり、需要が拡大しているのがプログラマやエンジニアといったIT人材です。ところが国内では2008年の1億2,808万人を頂点として総人口が減少に転じており、生産年齢人口の減少や高齢化率の上昇と相まってIT人材の不足が深刻化しています。研究機関の調査によると、2030年にはIT人材の不足数は約45万人に達すると予測されています。
人材紹介や人材派遣、コンサルティングなどを主体とする人材業界では、クライアントとIT人材を結びつけるマッチングシステムの構築が求められており、ITインフラのモダナイゼーションが不可欠です。また、人材業界自体もDXの推進によってリモート型のワークスタイルを確立し、働き方改革に基づく柔軟な労働環境の構築が必要となるでしょう。このような背景から、人材業界ではデジタル技術の戦略的活用による経営改革が求められています。
DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~(p.26)|経済産業省
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_03.pdf
平成27年版 厚生労働白書(p.4)|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/15/dl/all.pdf
IT人材需給に関する調査(p.20)|経済産業省・みずほ情報総研株式会社
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/houkokusyo.pdf
人材業界におけるDXの課題
人材業界に携わる企業がDXを推進するためには、以下に挙げる3つの課題を解決しなくてはなりません。
・強固かつ堅牢なセキュリティ
・デジタルへの移行
・DX人材の不足
強固かつ堅牢なセキュリティ
人材紹介や人材派遣などのサービスは個人情報を取り扱うため、より強固かつ堅牢なセキュリティ体制が求められます。また、テレワークやハイブリッドワークといった労働環境では、オフィス外から社内LANへ安全にアクセスする仕組みが必要です。
マルウェアや不正アクセスといった外部環境の脅威に対する対策を講じるのはもちろん、人為的ミスによる情報漏洩や意図的なデータの流出といった内部環境のリスクにも配慮しながらセキュリティ体制を整備しなくてはなりません。
デジタルへの移行
DXを実現するためには既存の業務プロセスをIT化し、経営体制のデジタルシフトを推進する必要があります。たとえば、これまで人材派遣事業では書面による労働者派遣契約の締結が必須であり、DXの重要性を理解しつつも業界全体としてデジタル化が遅れている傾向にありました。
しかし、2021年1月より労働者派遣契約の電子化が解禁されたため、人材業界では電子契約システムの導入やペーパーレス化の推進など、業務プロセスのデジタルシフトが求められています。
DX人材の不足
DXの本質的な目的はデジタル技術の活用によって経営体制に変革をもたらし、市場での競争優位性を確立することです。そのためにはAIやIoT、クラウドコンピューティングなどを導入するだけでなく、それらの技術をマネジメントやマーケティングの領域で活用し、新たな市場価値の創出に向けて主体的に取り組むDX人材の採用・育成が欠かせません。
したがって、人材不足が深刻化する国内市場のなかで、DXの推進に寄与する人材を効率的に採用・育成することが重要課題となります。
人材業界におけるDX推進の具体策
人材業界のDXを推進する具体的な施策として挙げられるのは以下の3つです。
・ペーパーレス化の実施
・Web会議システムの活用
・RPAツールの導入
ペーパーレス化の実施
人材業界におけるDX推進の第一歩はペーパーレス化の推進です。本人確認書類や労働者派遣契約書などをデジタル上に保管することで、セキュリティの強度が高まるとともに、書類管理における業務負荷を軽減できます。
ペーパーレス化を推進する企業は、ヤマトシステム開発が提供する「証明書類Web取得サービス」を活用し、旧態依然とした紙文化からの脱却に取り組んでみてはいかがでしょうか。
関連サービス

- 証明書類Web取得サービス
- 本人確認書類をWebで収集できるサービス。高セキュリティな環境でデータを扱うため安心してご利用いただけます。書類の目視チェックや確認業務も受託可能です。
Web会議システムの活用
DXの本質的な目的を実現するためには、全社横断的な情報共有基盤を構築しなくてはなりません。そこで重要な役割を担うのがWeb会議システムです。Web会議システムの導入により遠隔拠点と情報のやり取りが可能になれば、テレワークやハイブリッドワークといった次世代の働き方に対応できます。
特にクラウド型のWeb会議システムは導入が容易であり、外部環境から社内LANへ効率的かつ安全にアクセスできる点が大きなメリットです。
RPAツールの導入
DXの推進における重要課題のひとつは既存業務の省人化・自動化であり、「RPA(Robotic Process Automation)」の活用が欠かせません。RPAはExcelのマクロのような自動化機能をブラウザやアプリケーションを横断して実行できるツールであり、作業時間の縮小や業務工数の軽減、必要人員の削減などに寄与します。
ヤマトシステム開発ではRPAのオンサイトサービスを提供していますので、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
RPA導入支援|ヤマトシステム開発
https://www.nekonet.co.jp/service/rpa_onsite
人材業界におけるDXの成功事例
DXを実現するためには他社の成功事例から学びを得て、自社のビジネスモデルに応用することが大切です。ここでは人材業界におけるDXの企業事例を2つ紹介します。
株式会社フルキャストホールディングス
人材総合サービス企業の株式会社フルキャストホールディングスは、IT運用自動化プラットフォームとクラウド型自動電話通知サービスの導入によってDXを実現した企業です。これらのソリューションを活用し、リモートアクセスによるアカウントの有効化・無効化、FAXの送信確認、アラートメールの確認などの自動化に取り組みます。
その結果、情報システム部門が1ヵ月あたり約300時間も要していた業務の自動化に成功しました。
株式会社フルキャストホールディングス
https://www.iimhs.co.jp/cases/2021/09/case186.html
株式会社モード・プランニング・ジャパン
医療・福祉分野で人材支援サービスを提供する株式会社モード・プランニング・ジャパンは、チャットボット型Web接客ツールの活用によってDXを推進している企業です。人材業界に携わる企業にとって、非常に重要な経営課題のひとつは求職者の集客です。
チャット経由での応募はフォーム経由に比べて心理的負荷が低い傾向にあり、求人情報サイトやお役立ち情報サイトにチャットボットを設置した結果、応募件数と成約率の大幅な向上に成功しています。
株式会社モード・プランニング・ジャパン
https://chat.sinclo.jp/case/mode-planning-japan/
まとめ:DX実現に向けて、自社の課題を整理しよう
立替経費の精算業務は、書類への記入ミス発生やチェックに要する多大な時間、払い戻し件数の多さによる負担などさまざまな課題があります。こうした課題を解決し、経費精算業務を効率化する方法として法人用クレジットカードの作成や送金サービス、経費精算システムの導入などが考えられます。
どの方法でも効率化は可能ですが、コスト削減や従業員満足度の向上まで狙うのなら、マルチバリューチャージサービスのような送金サービスの導入がおすすめです。振込手数料を削減しつつリアルタイム性の高い支払いが可能であり、従業員満足度の向上につながります。