1. TOP
  2. media
  3. コラム
  4. BCPとは?中小企業が取り組むメリットや現状を理解して、災害に強い企業へ

BCPとは?中小企業が取り組むメリットや現状を理解して、災害に強い企業へ

BCPとは?中小企業が取り組むメリットや現状を理解して、災害に強い企業へ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
BCPとは?中小企業が取り組むメリットや現状を理解して、災害に強い企業へ

有事に備えてBCPを策定しておくことが今、企業に求められています。

近年の世界的な異常気象も相まって、日本全国で大きな規模の災害が発生することは珍しくありません。将来の事業存続を考える場合、企業の規模に関わらずBCPの策定は不可欠と言えます。しかし、大企業は続々と策定を完了し運用を始めている中、中小企業の策定率はまだまだ低い水準です。

BCP未策定の中小企業からは人手不足や知識・情報の不足などの理由に加え、何から手を付けていいのかわからないというお悩みが多く聞かれます。中小企業だからこそより重要となるBCPについて、なぜ必要なのか、また中小企業だからこそ享受できるメリットの存在まで解説します。万が一大きな災害に見舞われた時でも、経営難に陥ることなく速やかに復旧、事業継続できる災害に強い企業を目指しましょう。

BCPとは?

BCPとは「Business Continuity Plan」、日本語では事業継続計画と訳されます。
災害やテロ、パンデミックなどの有事に見舞われた際にも重要な事業を中断させない、または中断したとしても可能な限り短い期間で復旧し事業を継続的に運営していくことを目的とする方針・体制・手順などを示す計画を指します。
「緊急事態下においても事業を継続させること」が目的であり、特に有事の事後対応策に主眼を置いています。

BCP(事業継続計画)策定の目的

万一災害に遭ってしまった時、事業が継続できなければ企業として損失を被るのはもちろん、顧客や取引先からの信頼を失ってしまうでしょう。また、その災害が大規模かつ限定的であればあるほどライバル企業に遅れをとり、その影響は長期に及びます。もしかしたら一度離れたお得意さまは戻ってこない可能性もあります。災害によって深刻な被害を受け一時的でも事業が滞ると、企業の倒産リスクまでも高まるのです。特に近年は毎年のように日本全国いたるところで大規模災害発生のニュースが絶えません。
考えられる有事とは、地震・津波・台風や水害などの自然災害もあれば、事故・火災など人為災害、記憶に新しいところではパンデミックという生物学的災害もあります。どれも企業活動を停止させる事態の可能性があり、企業的損失は大きなものになります。企業は予め「災害は起こるもの」と想定したうえで、有効な対策を講じる必要があるのです。BCPを策定することは不測の事態に陥った時にも、顧客からの信用を失わず、従業員の雇用を守り、事業を継続させることを目的としています。

企業として災害へ備える

これまでも防災対策を意識して取り組んでいる企業は多くあるでしょう。しかし、BCPと防災対策は似ているようで厳密には異なります。

企業防災

企業防災は「災害発生時の被害を最小限に留める」ことを目的とします。災害の発生時に従業員や顧客、ひいては関係企業、取引先などの安全を確保するためにうつ災害対策全般です。企業としての社会的責任を果たすために極めて重要ではありますが、有事後の自社事業継続を目指すBCPとはこの点が違います。
企業防災が「その場の被害」を抑えるための手段であるのに対して、BCPは「災害発生の事業継続」を考えるものということです。

BCP・BCMの違い

BCPと同時に扱われることが多く、混同されやすい言葉に「BCM」があります。
「Business Continuity Management」 の頭文字からBCMと略されます。BCPは「事業継続計画」であるのに対し、BCMは「事業継続マネジメント」を意味します。有事の際に事業継続を実現するため平常時から行うマネジメント活動です。
BCMはBCPの策定からそれらの改善・運用までを総合的に考えるもので、「対策手段の運用プロセス」を設計するために必要となります。BCP(計画と手順)を整備し、どうやって企業内に浸透させるか、どのように活用していくかという「計画・導入・運用・改善」などを考えるマネジメント全般がBCMです。
BCPを策定するだけで終わってしまっては、いざという時の対応に遅れが生じます。計画、手順、施設、リソースおよびコミュニケーションなどを含めて、戦略からテスト、メンテナンスまでの全過程を網羅するBCMも重要なのです。BCMは被災後の事業継続について「計画・導入・運用・改善」などを考えるものであり、これもまた防災やBCPと似ているようで違いがあります。

中小企業にとってBCP対策のメリット

BCP策定は今のところ法的義務ではありません。しかし、BCP策定を行うことは以下のようなメリットをもたらします。



1. 災害時の事業継続性確保

被災による業績悪化、倒産のリスク軽減することがBCP第一の目的であり、メリットです。災害や緊急事態に備え、業務中断を最小限に抑え、できるだけ迅速に正常な業務を再開するための計画を策定します。BCPはさまざまなリスクに対処し、それに備えることで、事業活動の安定性維持を目指します。事前に潜在的なリスクを評価し、予めそれに対する対策を講じることで企業は様々なシナリオに備えることができます。

2. 信頼性向上

災害や緊急事態発生時に対処する計画を持っている事は、危機管理意識が高い企業であるとして取引先や顧客に安心感を与え、他社との差別化が行えます。長く安定した取引を望む企業との契約にもつながるでしょう。

3. 自社の事業内容、経営戦略の見直し

BCP策定を通じ、事業内容や業務の棚卸しをする必要もあり、業務効率化を進めたり、無駄の削減につながる良い機会になります。

4. 資産と従業員雇用の保護

災害時の従業員や資産の安全を確保することも重要な目的です。これには、適切な安全対策や避難計画、リモートワークの実施などが含まれます。従業員と資産の保護を通じて、組織は人的・物的資産を守りつつ、事業を安定的に運営できるようになります。
総じて、BCPは中小企業にとって、経営の安定性や信頼性を高め、様々なリスクに対処する手段として非常に有益なものです。

中小企業においてのBCP 策定率

2023年8月に東京商工会議所がまとめた調査によると、調査企業全体の策定率は増加傾向にあるものの、中小企業のBCP策定率は27.6%に留まっているという結果が出ました。本来は、大企業と比較して、企業の体力が少なくリスクも大きい中小企業こそ、綿密なBCP対策が必要です。災害時に事業がストップすることですぐにも倒産リスクが高まってしまいます。BCP策定をしていない企業の主な理由は人手不足やノウハウの欠如が上がっています。しかし、災害はいつ起こるか誰にもわかりません。BCP対策が万全でない場合は中小企業庁が公開している運用指針なども参考にしながら検討すると良いでしょう。

中小企業BCP策定運用指針

中小企業庁から出されているBCP策定に関する指針があります。中小企業へのBCPの普及を促進することを目的として、作成したものです。指針には、中小企業の特性や実状に基づいたBCPの策定および継続的な運用の具体的方法が説明されています。
中小企業BCP策定運用指針:https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/contents/bcpgl_download.html

事業継続力強化計画

中小企業庁が経営安定支援の一環として推し進めているものに「事業継続力強化計画」もあります。
「事業継続力強化計画」とは、中小企業が自社の災害リスク等を認識し、防災・減災対策の第一歩として取り組むために、必要な項目を盛り込んだもので、将来的に行う災害対策などを記載するものです。BCP策定に取りくむことは苦労ではありますが、自社のリスクを洗い出し、対策を打ち出した一環として申請することも可能です。これも大きなメリットといえるでしょう。認定された企業は、防災・減災設備に対する税制措置、低利融資、補助金の加点措置等を受けることができます。
また、認定を受けた企業に対する支援策の一つにはロゴマークの配布がりあります。このロゴマークを自社ホームページやカタログ、名刺などに掲載することで、認定を受けている企業であるというPRが可能になります。
中小企業庁 事業継続力強化計画:https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/antei/bousai/keizokuryoku.htm

中小企業BCP策定、何から始める?

BCPの策定とはどのように進めたらよいのでしょうか。

1. 中核事業とは何かを見極める

まずは重要商品、重要サービスを選定します。緊急事態発生時には人手も資源も限られます。その中で優先してなにを提供していくのか、社会や顧客になにを求められるのかを考え、またその後の事業継続に欠かせない商品/サービスを絞り込みます。
経営に与える影響が大きい商品/サービスから継続、または早期復旧することで経営難のリスクを低減させるのです。利益率の高い商品やなくなることで取引先に損害を与える商品、信頼性に関わる商品などを考慮することも大切でしょう。

2. 自社に想定されるリスクを分析し対策を検討する

BCPの対象となる様々なリスクと発生する可能性、影響範囲を想定し対策を検討します。被害を受ける可能性・対策を考えるべき要素としては、「人」 安否→代替人員確保、「金」 必要な資金を把握→調達先の確保、「物」 設備→代替方法の確保、「情報」 保有するデータ→保護方法の検討などが上げられます。その他にも、ライフラインや道路、鉄道、情報通信手段なども重要です。経営方針と考え併せ、災害発生時の行動や対応の優先順位を判断します。

3. BCP対策の内容をマニュアル化する

災害発生時の行動を具体的にマニュアル化し全社内で共有します。策定したBCP対策をマニュアル化することで、緊急事態においても慌てることなくスムーズな対応を取ることが可能になります。マニュアルにはできるだけ具体的に、誰が見ても必要な行動が取れるよう記載します。また定期的に内容共有の場を設け、すべての従業員が把握し、必要性を理解するようにしておくことも必要です。

4. 運用を見直し改善する

策定したBCP対策は定期的な見直しを行います。取引先などの外部環境の変化、社内設備の更新、組織変更など、企業内部は変化していきます。現状の体制や実務に沿った内容に更新していかなければ、対応が不十分になったり不要になる場合もあります。定期的に全従業員で訓練を行うことも有効です。対応の要不要や思わぬリスク、より良い手順などに気づくこともできます。改善点があれば改めて改善施策を作成し、社内共有を行います。

災害に強い企業とは

平常時から非常事態の対応について計画を立て、様々なリスクに対応できる体制を備えておけば、予期せぬ被害を抑えられます。企業が自然災害や事故などの危機に瀕した際、被害を食い止めつつ主要事業を継続し、早急な全体復旧を可能にするための流れや代替設備など、あらかじめの対策を作り非常時に対応できることが、災害に強い企業といえるでしょう。

現在のところ、中小企業全体ではBCP策定率は高くありません。BCPを策定し運用していくためには費用も人手もかかることが要因の一つかもしれません。しかし、万一被災した場合の損失を考えれば、その費用は比べものになりません。加えて、なにかが起こってしまってから対処するようでは、自社の被害のみならず取引先、顧客にも二次的な被害を出してしまうことにもなりかねません。反対に考えて、中小企業の策定率が低い今、BCP対策に取り組むことは危機管理意識の高い企業として、お客さま、取引先、従業員や地域住民からの信頼性が上がり、企業価値が高まるでしょう。有事に備えてBCPを策定しておくことが多くの企業に求められています。災害に強い企業としてしっかりとしたBCPを策定しましょう。

速やかな事業復旧を

BCP対策において検討するべきことはたくさんありますが、デジタルの分野で対策することはどのようなものでしょう。
災害時、速やかに事業を復旧させるために必要なものは、企業の保有する事業情報、販売情報、顧客情報などのデータです。火災の発生により、会社建屋、事務所を焼失してしまう、または近所の河川の大氾濫により、会社事務所が浸水してしまうことも考えられます。その場合、事務所にあるこれまでの事業の膨大な書類やデータは消失してしまうことになります。そのような事態を避けるためには、事業における大切なデータをデジタル化しておくこともBCP対策に当たります。デジタル化しておくことにより、紙の書類が失われてもデジタル化されたデータから復旧可能です。社内に膨大に保管してある紙の書類をデジタル化すればクラウドや外部サーバに退避させておくことも可能になります。万一大地震により社内のPCが机から落ちて壊れてしまったり、パンデミックにより従業員の大半が1週間以上出社できなくなった場合でも、社外のパソコンからアクセスして事業を継続することができます。

まとめ:まず初めの一歩を踏み出す

BCP対策の一環としてまずは手始めにデータのデジタル化から始めてみるのもおすすめです。社内のルーティンを作成し、現場のレベルから進めることによって、現場の意識向上にも有効です。BCP を策定した企業の約7割が、BCP策定に踏み切ったことで「従業員のリスクに対する意識が向上した」と回答しています。

ヤマトシステム開発の「文書スキャニングサービス」は、オフィスに溜まりがちな書類を回収して電子化・保存するご支援をしているサービスです。災害対策・セキュリティ対策されたデータセンター内で運用しており、業務負担をかけずに文書管理の分野をBCP対策する上ではオススメのサービスです。

bn_文書スキャニング誘導.png

  • このエントリーをはてなブックマークに追加