事務作業を効率化する6つの具体策と改善に役立つツール

公開日:2023/03/22
最終更新日:2025/10/28
コスト削減や生産性向上を実現するための手段として、事務作業の効率化に取り組む企業が増えています。不要な作業の削減、ツールの活用など取り組み方はさまざまですが、いずれもポイントを踏まえたうえで、正しい手順で行うことで成功につながります。事務作業を効率化する具体策やツールについて紹介します。
1.事務作業を効率化する6つの具体策
事務作業は企業にとって不可欠な業務である一方、直接利益にはつながらないノンコア業務のため、できる限り無駄をなくして効率化することが求められます。 効率化する方法は手軽に取り組めるものから、コストや手間がかかるものまで多様です。代表的な方法として以下の6つを紹介します。
業務効率化ツールを導入する
ツールを導入して業務効率化を実現する方法です。身近なものでは、Excel VBAやGoogleスプレッドシートなどを活用して集計作業を自動化する方法があります。 ビジネスチャットはメールよりも迅速で気軽なコミュニケーションを実現し、情報共有を活性化できます。
営業活動を効率化するMA(マーケティングオートメーション)ツールは、多くの企業で導入されています。見込み顧客を一元管理する、特定の行動(例:ホワイトペーパーのダウンロード)をした相手にメールや電話でアプローチするなど、営業担当者が手作業で行っていた業務を自動化するツールです。作業効率化だけでなく最適なアプローチによる成約率向上にもつながります。
その他にも、CRM(顧客管理システム)やSFA(営業活動支援システム)、クラウド型で提供されるサービスや機械学習を活用したツールなどが多数登場し、業務効率化に大きな効果を上げています。
事務作業を見直して削減する
事務作業を見直すことで無駄な作業を見つけ、削減する方法です。
すべての事務作業に対して、「改善の余地があり」・「不要」・「必要」の3つに仕分けをして、「改善の余地があり」・「不要」が削減対象の事務作業です。
従業員は単調で定型的な事務業務についてはあまり意識せずに作業しがちなため、まずは各業務の最終目的が何か確認します。例えば、報告書を作成している場合なら、何のために使用されているのかを確認します。作成方法にもっと簡単な方法はないか、この作業自体が不要なのでは、という視点が生まれ、「不要」や「改善の余地があり」と判断してツール導入や業務改善施策を行います。
事務作業の代行サービスを導入する
事務作業の代行サービスは、データ入力、書類作成、経理、総務、コールセンターなどの企業活動に不可欠なノンコア業務全般を代行するサービスです。
インターネット上で業務を遂行するオンラインアシスタントは、必要な時に必要な分だけ依頼できる手軽さから需要が高まっています。
事務作業の代行サービスを導入することで、人員の教育コストが不要になることや、新たに人員を雇う必要がないため、採用業務の負担が軽減にもつながります。外部委託できる事務作業を代行サービスを導入することで、従業員はコア業務に注力できるようになり業務効率化につながります。
マニュアルを作成する
マニュアルを作成して共有することで、誰が行っても同じような手順で作業でき、同じ品質で作業を完了できるようになります。属人化の解消にも効果的です。
作成するポイントとして、構成は大項目は業務の大きな流れ、中項目は各作業の中での具体的なタスク、小項目は細かい操作手順というように、分けて作成します。結論から書き目的を提示してから、具体的な手順で簡潔に記載します。必要に応じて、スクリーンショットや図や画像を効果的に使うことで視覚的な補いができます。
実際にマニュアルを見て作業ができるか確認し、定期的にマニュアルを見直して最新の状態を保つことも重要です。
マニュアル作成を支援するサービスや動画マニュアルを手軽に作成できるツールなども登場しています。ツールを活用するとマニュアル作成の手間を削減でき、業務効率化の効果がさらに高まります。
使用するパソコンやディスプレイなどの機器を見直す
事務作業の多くはパソコンやタブレットを使って行います。使用するパソコン、タブレット、ディスプレイ(パソコンモニター)、関連する機器を改善し、作業しやすい環境を整えることで作業時間の削減ができます。
例えば、動作の遅いパソコンでは、フリーズしたり待ち時間が発生するため、スペックの高いパソコンに入れ替えることで作業時間が削減できます。入力作業が多い事務作業では、パソコンモニターを2つ設置するデュアルディスプレイにすることで、ファイルの切り替え作業がなくなるため、作業時間の削減だけではなく作業効率の向上が期待できます。また、目の疲れや肩こりを軽減するためにディスプレイ(パソコンモニター)の大きさや高さ、マウスやキーボートを見直しすることで、健康への配慮につながります。
ペーパーレス化に取り組む
ペーパーレス化とは、紙で管理・運用していた資料や帳票をデジタル化する取り組みです。既に紙で保管している資料や帳票、今後発行予定の資料や帳票が該当します。
既に紙で保管している資料や帳票をデジタル化して紙の保管をなくすことで、保管場所の削減につながります。今後発行予定の資料や帳票は紙代やインク代・郵送費といったコスト削減につながります。
デジタル化することにより利便性や検索性が向上し業務効率化につながります。
2.事務作業の業務改善に役立つツール
ツールの導入により今まで手作業で行っていた事務作業を自動化し効率化を実現します。業務改善に役立つだけでなく、長期的には企業がDXを目指すうえでも役立ちます。効果が期待できるツールを紹介します。

本人確認書類収集システム
本人確認が必要な際に、健康保険証や運転免許証といった本人確認書類のコピーを窓口に持参したり郵送したりといった手間が発生します。本人確認書類回収は、提出依頼から始まり、書類の精査や不備があった場合の再提出依頼など業務負荷が大きい作業です。書類のコピー、窓口への訪問、郵送の手間が発生するため、書類を送付する側にとっても負担は少なくありません。
本人確認書類をWebサイトやアプリで収集できるシステムを導入することで、業務時間の削減や本人確認書類取得までのリードタイムを短縮します。特に本人確認書類の内容確認、システムへ入力する作業を自動化することにより、業務効率化ができます。本人確認書類を送付する側にとっても、コピーや送付の手間がなくなり、手続きがスムーズに進むことで利便性が向上し、顧客満足度アップが期待できます。本人確認書類の回収率の向上も期待できます。
関連サービス

- 証明書類Web取得サービス
- Webのみで本人確認書類回収完了し業務の効率化を実現!申し込みに必要な各種書類の取得、書類の目視確認も可能です。
ペーパーレス化
保管している紙媒体のデジタル化
紙媒体で保管するのには、保管スペースが必要となりますが、デジタル化して紙媒体を廃棄や外部倉庫保管することで、保管で使用していたスペースを有効活用できます。デジタル化することで紙媒体から必要な書類を探す手間が軽減し、キーワード検索が可能なため迅速に必要な書類を見つけることができ、業務効率化につながります。
デジタル化した書類はバックアップが容易であり、火災や地震などの災害時にも迅速に復旧でき、BCP対策につながりデータの消失リスクを最小限に抑えることができます。万が一のデータ損失や災害時でも迅速な復旧が可能になります。
インターネットFAX
インターネット回線を通して、パソコンやスマートフォンからFAXの送受信ができます。FAX機や紙の印刷が不要になるため、紙代やインク代・郵送費、通信費といったコスト削減につながります。 外出時や出張時などのオフィス以外の場所からもインターネット環境があればFAXの送受信ができるため、FAXを送受信するためにオフィスへ出向く必要がなくなります。
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電子帳票システム
見積書、注文書、請求書などの帳票を電子配信します。
紙で印刷して郵送が不要になるため、紙代やインク代・郵送費といったコスト削減につながります。
現在発行している帳票とフォーマットを再現できるため、受け取る取引先側も記載項目の場所が分からず確認に時間がかかるといった事態が防げます。
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RPA
RPA(Robotic Process Automation/ロボティック・プロセス・オートメーション)とは、コンピュータを使って行う事務作業を自動化する技術です。 Excel VBAよりも自動化できる対象が広いことや、コーディングの専門知識がない人でもシナリオを作成できることが特徴です。事務作業で多いデータの入力作業、Webサイトからの情報収集、データのチェック、メールの送信など、さまざまな作業を自動化できます。単純作業や定型作業にかかる時間を大幅に削減できます。
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ビジネスチャット
社内外の人とテキストでやりとりできるチャットツールは、メールよりも手軽に、かつスピーディーにレスポンスできるため連絡業務の効率化や活発なコミュニケーションができます。複数人での情報共有が容易になるといったメリットもあります。
企業向けのビジネスチャットツールでは、基本のチャット機能に加えてカレンダーやファイルストレージ、通知機能、ほかのツールとの連携機能など、業務をスムーズに進めるためのさまざまな機能が提供されています。チャットツールを活用してスケジュール調整やノウハウの共有などを行うことで、業務効率化に役立ちます。
MA(マーケティングオートメーション)
見込み顧客の情報を一元管理し、それぞれの興味度合いに合わせてメール配信などのマーケティング施策を自動化する仕組みです。
例えば、ホワイトペーパーのダウンロードした顧客には、1週間後にメールを配信して、メールを開封した顧客/開封していない顧客に分けて次のメール配信内容を分けるなど、それぞれの顧客にあった施策を実施します。最適なアプローチによる成約率向上にもつながります。
CRM(顧客管理システム)
顧客に関する情報を一元管理し、そのデータを活用して顧客一人ひとりに対して最適なアプローチを実現する仕組みです。
会社名や部署名や連絡先といった基本情報だけでなく、過去の問い合わせ履歴、商談の進捗状況、Webサイトの閲覧履歴といった、顧客とのあらゆる接点の情報を一つに集約できます。「担当者しか状況を知らない」といった情報の属人化を防ぐことができます。
SFA(営業活動支援システム)
企業の営業活動を一元管理し、営業プロセスを自動化・効率化するためのシステムです。一元管理することで、担当者しか案件の進捗を知らないという状況を防ぎます。これまで各営業担当者の経験に頼りがちだった営業活動を、データに基づいた活動へと変革させることができます。
日報作成などの事務作業を簡略化し、営業担当者が本来注力すべき顧客との対話時間の創出につながります。
3.事務作業を効率化するメリット
事務作業を効率化する大きなメリットは、「不要」な事務作業をなくすこと、「改善の余地があり」な事務作業を改善することによりコスト削減や業務効率化です。そのほかにも従業員の定着率向上やミスの軽減など、さまざまなメリットが期待できます。
従業員の定着率が高まる
単調で定型的な事務業務ばかりの職場では、従業員のやる気も低下しがちで離職率が高くなる可能性があります。
事務作業の効率化を進めることで労働時間を削減し、従業員の作業負担を削減できます。質の高い業務に集中できる環境を整えることで、従業員のやる気の維持・向上も期待できます。単調で定型的な事務業務に費やしていた残業が減ることでワークライフバランスを保ちやすくなり、気持ちの余裕が生まれるため新たなチャレンジもしやすい環境が創れます。従業員のモチベーションの向上は、企業の成果や生産性の向上にもつながるため大きなメリットです。
ミスを最小限に抑えることができる
事務作業の業務改善に役立つツールの導入により事務作業を自動化・効率化することで、手作業で発生しがちなヒューマンエラーを軽減でき、作業時間の削減ができます。
ミスが減少することで精神的な余裕ができることで、ほかの業務のパフォーマンスも上がるでしょう。ツールに確認や計算機能などがあるためダブルチェックに要する時間も削減します。
ほかの業務に手が回るようになる
事務作業を事務作業の業務改善に役立つツールの導入により効率化することで、事務作業に必要な時間や手間を削減できます。削減された時間を別の付加価値が高い業務に割り当てることで、生産性の向上や業務効率化につながります。
ヒト・カネ・モノといったリソースを重要性が高い業務に分配することで、コア業務に注力できます。
4.事務作業を効率化するときの手順

実際に事務作業の効率化を試みる際には、以下のような手順で行うのが一般的です。結果を求めるあまりに急いで効率化を進めても期待する効果は得られません。
業務内容を整理する
まず現在の事務作業の業務内容を棚卸し、状況を把握するところから始めます。棚卸を行う範囲を決定したら表を作成し、関係する従業員に入力依頼します。業務分類、業務内容、作業時間、実施頻度など大項目から小項目へと分類しながら漏れなく記載することがポイントです。入力内容に不明点がある場合は、直接従業員にヒアリングして不明点を解消するようにします。
次に業務の発生頻度、作業時間、業務種類などの視点で整理します。業務の棚卸作業は従業員に負担がかかるため、十分な期間を設けて行います。
課題を見つける
棚卸表をもとに業務を精査し、統合可能な業務はないか、時間をかけすぎている業務はないかなど、課題点を洗い出します。
複数人が同じような作業を行っている場合、人によって作業時間にバラツキがあるなら何らかの課題が存在する可能性があります。作業が属人化されていて最適な手順が共有されていない、作業の進め方に問題がある、などが考えられるでしょう。マニュアルの有無や具体的な作業手順などを確認しながら、解決すべき課題を明らかにします。
製造業の「3ム(3M・ダラリ)」とは、ムリ・ムダ・ムラの頭文字をとったものです。「3ム」は生産や作業効率の向上が期待され、常日頃から生産現場で徹底されています。仕事量が多すぎて時間内に終わらない作業はムリ、付加価値を生まない作業はムダ、月末に業務が集中して仕事量の差がありすぎるのはムラです。いずれも改善の余地があります。「3ムは」業界や職種を問わず活用できる考え方で、事務部門も例外ではありません。
解決策を考える
洗い出した課題と効率化の余地が高い事務作業に対して、どのような方法で解決し業務効率化できるかを考えます。導入コストや実施スケジュール、影響範囲などをまとめてます。
月例報告用として、日々各部門から提出されるExcelデータを、1つのExcelに転記して集計、定例レポート作成、PDF出力を行う作業が発生している場合、RPAで転記、集計、定例レポート作成、PDF出力まで自動で行うようにすれば作業時間の削減ができます。特に処理数が多い場合、夜間にRPAを動かせば日中のサーバ負荷を軽減できます。RPAは24時間365日働く労働力のため、業務上に合わせてシナリオを実行できます。
また、問い合わせが多いことが課題の場合、チャットボットを導入することにより、単純な問い合わせ対応業務の削減が期待できます。FAQを充実させることで問い合わせ自体を削減するという解決策もあります。
業務に取り組む
解決策についてツールの導入などが決まったら、実行手順やスケジュールを決めて、優先順位の高いものから実運用を開始します。
効率化しやすい事務作業であっても得られる効果が小さければ取り込む優先順位は低くなります。効率化が容易で、得られる効果が大きい作業を優先して効率化を進めていくようにします。ただし新しいツールのため、まずはスモールスタートの場合は、得られる効果の判断ではなく、取り組みやすい業務から始める方法もあります。
取り組みを分析する
業務改善を行う際には、実施して終わりではなく効果検証を行い、計画(Plan)→実行(Do)→評価(Check)→改善(Action)のPDCAを回すことが不可欠です。解決策を実行した後、期待した効果が得られているか、問題はないかなど評価を行います。課題があった場合は、原因を明らかにしたうえで改善に取り組みます。作業を行った従業員にヒアリングして改善点を発見することも重要です。
まとめ:事務作業を効率化して業務の無駄をなくそう
事務作業の効率化を行うことで、従業員の定着率向上やモチベーションアップ、ミスの低減など多くのメリットがあります。
効率化によって生まれたヒト・カネ・モノといったリソースを重要性が高い業務に分配することで、コア業務に注力できます。
作業内容の棚卸から始まり地道な改善作業が必要になるため、一つひとつ丁寧に取り組むことが重要です。紹介した内容を参考に、ツール導入やマニュアル作成など、小さな部分からコツコツと取り組むことが業務効率化につながります。
関連サービス

- 証明書類Web取得サービス
- Webのみで本人確認書類回収完了し業務の効率化を実現!申し込みに必要な各種書類の取得、書類の目視確認も可能です。




